スイスで救急にかかると何が起きるか——Notfallの仕組みと費用
スイスで急病やケガで救急外来(Notfall)に行った場合の流れ、費用、保険適用、事前に知っておくべき注意点を解説。
この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。
スイスの救急外来(Notfall)は、日本の感覚で行くと面食らう。まず、待ち時間が長い。トリアージで緊急度が低いと判断されると、3〜4時間待たされることも珍しくない。
まずはHausarzt(かかりつけ医)に連絡
スイスの医療制度では、救急でない限りまずHausarzt(かかりつけ医)に電話するのが基本だ。保険モデルによっては、Hausarztを経由しないと自己負担が増えるタイプ(HMOモデル)もある。
夜間や週末でHausarztが不在の場合は、各カントンの医療相談ホットラインに電話する。チューリッヒなら「0800 33 66 55」、ベルンなら「0900 57 67 47」で、看護師が症状を聞いて適切な対応を教えてくれる。
救急外来(Notfall)の流れ
病院のNotfallに到着すると、まず受付でKrankenkassenkarte(保険証)を提示する。その後トリアージナースが症状を評価し、緊急度に応じて待ち順が決まる。
骨折や激しい腹痛なら比較的早く診てもらえるが、軽度の症状だと後回しになる。「先に来たから先に診る」ではなく、「重い人から先に診る」のがスイスの救急だ。
費用の目安
救急外来の受診には、通常の診察費に加えて「Notfallzuschlag(救急加算)」がかかる。時間帯によって異なり、夜間・週末・祝日はさらに加算される。
目安として、軽症の診察で300〜500CHF(約51,000〜85,000円)、レントゲンや血液検査が加わると1,000CHF(約170,000円)を超えることもある。これに年間のFranchise(免責額、最大2,500CHF)とSelbstbehalt(自己負担10%)が適用される。
救急車は有料
スイスでは救急車も有料だ。カントンによって異なるが、出動1回あたり500〜1,500CHF(約85,000〜255,000円)程度。保険でカバーされるのは50%が一般的で、残りは自己負担になる。追加保険(Zusatzversicherung)に加入していれば全額カバーされるケースもある。
緊急通報番号は「144」。命に関わる状態なら迷わずかけていい。
薬局(Apotheke)で済む場合もある
軽い症状なら、まずApotheke(薬局)に行く手もある。スイスの薬剤師は相談権限が日本より広く、簡単な診察や処方薬の代替提案もしてくれる。風邪、軽い痛み、皮膚トラブル程度なら薬局で十分なことも多い。
日本語対応の医療機関
チューリッヒやジュネーブには日本語対応の医療機関がいくつかある。ただし数は限られるため、事前にリストを作っておくと安心だ。緊急時に言語の壁で困らないよう、症状を説明するドイツ語・フランス語のメモを普段から用意しておくのも一つの方法だ。
スイスの救急は高い。だからこそ、「どのレベルならNotfallに行くべきか」を平時に把握しておくことが、いざという時の判断を早くする。