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3本柱の年金制度——AHV・BVG・個人年金と外国人の受給権

スイスの年金は3本柱構造。公的年金AHV・企業年金BVG・個人年金の仕組みと、外国人が帰国時に受給できる条件を解説。

2026-04-11
年金AHVBVG社会保障老後資金

この記事の日本円換算は、1CHF≒175円で計算しています(2026年4月時点)。

スイスの年金制度は「3本柱(Drei-Säulen-Prinzip)」と呼ばれる構造になっている。日本の公的年金一本と違い、3層で老後資金を積み上げる設計だ。

第1柱:AHV(公的老齢・遺族保険)

AHVは国が運営する強制加入の社会保険で、雇用者・自営業者を問わず全員が対象だ。保険料は給与の8.7%(労働者4.35%・雇用主4.35%の折半)。受給開始年齢は男性65歳・女性64歳(2024年改革で女性も段階的に65歳へ移行中)。

受給額は拠出年数と収入に応じて変わり、最大でCHF 2,450/月(約42.9万円)、最低でCHF 1,225/月(約21.4万円)。満額受給には44〜45年の拠出が必要だ。

外国人がスイスを離れる場合、一定条件を満たせばAHV拠出額の返還請求が可能だ。ただし返還できるのは「社会保障協定を結んでいない国に移住する場合」に限られ、日本はスイスと協定を結んでいるため原則として返還の対象外になる。

第2柱:BVG(企業年金・職業老齢保険)

BVGは雇用主が運営する強制年金で、年収CHF 22,680(約397万円)以上の労働者が対象となる。保険料は年齢に応じて変わり、25〜34歳は給与の7%・45歳以上は18%まで上昇する。雇用主は労働者と同額以上を拠出する義務がある。

BVGは退職時に一時金または年金として受け取れる。スイスを離れる際は、拠出分を「自由通過勘定(Freizügigkeitskonto)」に移換することが可能だ。

第3柱:個人年金(Säule 3a)

税制優遇のある任意の個人年金口座。年間CHF 7,258(約127万円)まで積み立て可能で、全額が課税所得から控除される。スイスから出国する際には全額引き出せる。

外国人にとって第3柱は節税と資産形成を同時にできる有力な選択肢で、スイス在住中は積極的に活用できる。

日本との関係

日本とスイスは社会保障協定(2012年発効)を結んでいる。この協定により、スイスで納めた年金保険料の期間と日本での期間を通算して受給資格を判定できる。スイスで働いた期間が短くても、日本とスイスの拠出期間を合計して受給資格を確認する価値がある。

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