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スイスの住宅協同組合(Genossenschaft)——市場価格より安く住む仕組み

スイスでは住宅協同組合(Genossenschaft)が賃貸住宅の約5%を供給し、市場価格より20〜30%安い家賃を実現している。仕組み・入居条件・申し込み方法を在住者向けに解説。

2026-05-08
スイス住宅協同組合Genossenschaft家賃住居

この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。

チューリッヒで3.5部屋(1LDK相当)の民間賃貸を借りると月CHF 2,200〜2,800(約374,000〜476,000円)が相場だ。同じ条件の住宅協同組合(Genossenschaft/ゲノッセンシャフト)の物件だとCHF 1,400〜1,800(約238,000〜306,000円)程度。2〜3割安い。

なぜこの差が生まれるのか。住宅協同組合は利益追求を目的としない組織で、家賃は「建物の維持に必要なコスト+積立金」で設定される。市場原理ではなく原価ベースの価格設定だから安い。

住宅協同組合の仕組み

住宅協同組合は住民が共同で住宅を所有・運営する形態だ。スイスでは19世紀末から存在し、現在も全住宅ストックの約5%(チューリッヒ市内では約25%)を占める。

入居者は組合員(Genossenschafter)になる必要があり、入会時に「出資金(Anteilschein)」を支払う。金額は組合によって異なるが、CHF 5,000〜20,000(約850,000〜3,400,000円)程度が一般的だ。退去時にはこの出資金は返還される。

組合員は年1回の総会で議決権を持ち、修繕計画・家賃改定・新規プロジェクトについて投票する。スイスの直接民主制の縮小版のような仕組みだ。

入居の条件と待ち時間

多くの協同組合は入居に所得上限を設けている。年収がCHF 100,000〜150,000(約1,700万〜2,550万円)を超えると申し込めない組合もある。目的が「手頃な住宅の提供」なので、高所得者は民間市場で探すことが前提になっている。

人気のある協同組合では待ちリスト(Warteliste)の登録から入居まで数年かかることも珍しくない。チューリッヒの大手協同組合ABZ(Allgemeine Baugenossenschaft Zürich)やKraftwerk1は10年待ちと言われることもある。

外国人でも入居できるか

入居条件は組合ごとに異なるが、多くの協同組合では国籍による制限はない。B許可(滞在許可)やC許可(定住許可)があれば申し込める。ただし以下の点に注意が必要だ。

  • 出資金の準備: 入居時にまとまった出資金が必要
  • 言語: 総会はドイツ語(またはフランス語)で行われる。日常的なコミュニケーションも現地語が前提
  • コミュニティ参加: 清掃当番・庭の手入れ・イベント参加など、住民同士の関わりが求められる組合が多い

申し込み方法

  1. 組合を探す: 居住地域の協同組合をリストアップする。Wohnbaugenossenschaften Schweigのウェブサイトに全国の組合リストがある
  2. 待ちリストに登録: ウェブサイトまたは窓口で登録。登録料がかかる場合がある(CHF 100〜300程度)
  3. 空きが出たら連絡が来る: 物件の内見・面談を経て入居が決まる
  4. 出資金を支払い、組合員になる: 入居と同時に組合員資格を取得

知っておくべきリスク

安い家賃には理由がある。組合住宅は築年数が古い物件が多く、設備が民間の新築に比べて見劣りする場合がある。大規模修繕時には追加出資を求められることもある。

また、転貸(Untermiete)の制限が厳しい組合が多い。長期出張で不在にする場合の対応は事前に確認しておいた方がいい。

とはいえ、スイスの住居費の高さを考えると、協同組合は現実的な選択肢の一つだ。特にチューリッヒ・ベルン・バーゼルなどの大都市で長期的に住むなら、早めに待ちリストに登録しておく価値はある。

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