スイスの犬税とペット規制——飼い主が知るべきルールと費用
スイスでは犬の飼い主に犬税(Hundesteuer)が課され、飼い方にも厳格な規制がある。犬税の金額・登録手続き・散歩義務・危険犬種規制まで、在住者向けに整理する。
この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。
スイスで犬を飼うと、毎年「犬税(Hundesteuer)」の請求書が届く。自治体(Gemeinde)ごとに金額が異なり、年間CHF 50〜200(約8,500〜34,000円)程度。チューリッヒ市ではCHF 120(約20,400円)、ベルン市ではCHF 110(約18,700円)前後だ。
犬税は19世紀から存在する制度で、当初は狂犬病対策の登録制度と連動していた。現在は動物保護・公共スペースの清掃費用などに充てられている。
犬の登録と義務
犬を飼い始めたら、居住地の自治体に登録する義務がある。登録時にマイクロチップの番号が記録され、全国データベース(AMICUS)に登録される。マイクロチップの埋め込みは法的義務で、獣医が行う。
飼い主向けの講習(Sachkundenachweis/SKN) — 2008年から義務化されていたが、2016年に連邦レベルでは廃止された。ただし一部のカントンでは独自に講習義務を維持しているので、居住カントンの規定を確認する必要がある。
スイスの動物保護法と犬の飼育規則
スイスの動物保護法(Tierschutzgesetz)は世界でもトップクラスに厳格だ。犬に関する具体的な規定をいくつか挙げる。
単独飼育の制限 — 社会性のある動物(モルモット・ウサギ等)は単独飼育が禁止されている。犬は単独飼育が認められるが、十分な社会的接触(他の犬や人間との交流)が求められる。
散歩・運動の義務 — 犬は毎日十分な運動をさせなければならない。具体的な時間の規定はないが、犬種やサイズに応じた「適切な運動」が法的に求められる。
庭にずっと繋ぎっぱなしはNG — 常時繋いでおくこと(anbinden)は禁止。つなぐ場合でもケーブルラン等で一定の移動範囲を確保し、日中定期的に解放する必要がある。
危険犬種規制
危険犬種の規制はカントンごとに大きく異なる。
チューリッヒ州では特定の犬種リストはなく、問題行動を起こした個体に対して個別対応する。一方、ヴァレー州やフリブール州では特定の犬種(ピットブル・テリア等)の飼育が禁止または許可制になっている。
ジュネーヴ州では2017年から3カテゴリーの分類制を採用し、第1カテゴリーの犬種は新規取得が禁止、第2カテゴリーは許可制+リード義務+口輪義務が課されている。
実際の費用感
| 項目 | 年間コスト目安 |
|---|---|
| 犬税 | CHF 50〜200(約8,500〜34,000円) |
| ペット保険(任意) | CHF 300〜800(約51,000〜136,000円) |
| フード・おやつ | CHF 1,200〜2,400(約204,000〜408,000円) |
| 獣医(定期検診・ワクチン) | CHF 200〜500(約34,000〜85,000円) |
| ペットシッター(旅行時) | CHF 30〜60/日(約5,100〜10,200円/日) |
スイスでの犬の飼育コストは日本の1.5〜2倍程度を見込んでおいた方がいい。物価全般が高いことに加え、動物保護のための規制コスト(保険・講習・設備)が上乗せされる。
賃貸住宅では大家の許可が必要で、ペット不可の物件も多い。物件探しの段階で「Haustiere erlaubt(ペット可)」の条件を入れて検索するのが現実的だ。