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スイスの電気代と暖房事情——冬の光熱費が月5万円を超える理由

スイスの冬は暖房費が家計を圧迫する。電気代・暖房費の仕組みと、在住者が実践する節約術を解説します。

2026-05-12
スイス電気代暖房生活費

この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。

スイスの電力の約60%は水力発電で賄われている。クリーンエネルギー大国だ。しかし電気代が安いわけではない。冬場の光熱費は月300〜500CHF(約51,000〜85,000円)に達することもある。

電気代の仕組み

スイスの電力は地域の電力会社(Elektrizitätswerk)から供給される。カントンや市町村ごとに電力会社が異なり、料金も違う。チューリッヒのewzとジュネーヴのSIGでは、同じ使用量でも年間数百フランの差が出ることがある。

一般家庭の電気代は月100〜150CHF(約17,000〜25,500円)程度。これは暖房を電気で賄わない場合の数字だ。オール電化の住宅や電気暖房の物件では、冬場に大きく跳ね上がる。

暖房の種類で費用が変わる

スイスの暖房は物件によって異なる。主な種類は以下の通り。

  • 地域暖房(Fernwärme): 都市部で多い。建物全体で共有し、Nebenkostenに含まれることが多い
  • ガス暖房: 築年数が古い建物に多い。ガス代は別途請求
  • ヒートポンプ: 新築に多い。電気を使うが効率が高く、ランニングコストは比較的安い
  • オイル暖房: 地方の一戸建てに多い。オイルタンクに年1〜2回補充。価格変動が大きい

賃貸では暖房費がNebenkosten(共益費)に含まれるケースが多い。ただし年末に精算があり、使用量が見積もりを超えると追加請求が来る。この追加請求が1,000CHF(約170,000円)を超えることも珍しくない。

冬の暮らし方

スイスの冬は11月から3月まで続く。チューリッヒやベルンでは氷点下が日常で、暖房なしの生活は考えられない。室温は20〜22度に設定する人が多いが、暖房費を抑えるために18〜19度にする節約派もいる。

窓を全開にして換気する「Stosslüften」が推奨されている。窓を少しだけ開けて長時間換気するのではなく、5〜10分だけ全開にして一気に空気を入れ替える方法だ。これが暖房効率を下げずに結露やカビを防ぐスイス式の知恵。

Nebenkostenの読み方

賃貸の場合、家賃とは別にNebenkosten(付帯費用)が毎月請求される。これには暖房費、温水、共用部分の清掃、エレベーター保守、ゴミ処理などが含まれる。月200〜400CHF(約34,000〜68,000円)が一般的な範囲だ。

年末に届く精算書(Nebenkostenabrechnung)は必ず確認する。過払いがあれば返金されるし、不足があれば追加請求される。内訳が不明瞭な場合は、管理会社に説明を求める権利がある。

節約の現実

電力会社を自由に選べない地域も多いスイスでは、「安い電力会社に乗り換える」という日本式の節約は難しい。できることは、LED照明への切り替え、待機電力の削減、暖房温度の適正化、そして何より物件選びだ。

新築のMinergie認証(省エネ基準)を取得した物件は、断熱性能が高く光熱費が大幅に抑えられる。家賃は高めだが、光熱費込みで考えると旧式の物件と大差ないこともある。

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