スイス人が夏になると湖に飛び込む理由——バーディ文化と都市の水辺
チューリッヒ湖やライン川で泳ぐのはスイスの夏の日常。無料の公共水泳場「バーディ」の文化と、都市生活における水辺の意味を解説。
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チューリッヒの夏、昼休みにスーツのままリマト川沿いを歩くビジネスマンの横で、水着姿の人たちが川に飛び込んでいる。気温が25℃を超えると、この光景が普通になる。
スイスには「バーディ(Badi)」と呼ばれる公共の水泳場が各地にある。湖畔や川沿いに設けられた入場無料(または数CHF)の施設で、更衣室、飛び込み台、芝生の日光浴エリアを備えている。チューリッヒだけで30か所以上。都市のインフラとして水泳場が組み込まれている。
通勤前に泳ぐ人たち
チューリッヒ湖畔のバーディは朝6時から開いている。出勤前にひと泳ぎして、そのままオフィスに向かう人も珍しくない。夏場のバーディは社交場でもあり、近所の住民が顔を合わせる場所だ。
水質は驚くほど良い。スイスの湖と川は定期的に水質検査が行われ、ほぼすべてが遊泳可能な基準を満たしている。チューリッヒ湖の透明度は水深数メートルまで底が見えるレベルだ。
ライン川を流れる
バーゼルでは、夏になるとライン川を泳いで「通勤」する人がいる。防水バッグに荷物を入れて川に入り、流れに乗って数キロ下流まで移動する。専用の入水ポイントと上陸ポイントが整備されていて、市が公式に推奨している。
危険ではないのかという疑問はもっともだが、流れの速さと水深は管理されており、毎年数万人がライン川遊泳を楽しんでいる。ただし、水温が低い時期やダム放水時は禁止される。
日本人が気をつけること
バーディによっては男女別の区画があるが、混浴が基本のところも多い。更衣室はあるがロッカーが有料(CHF 1〜2、約170〜340円)の場合がある。貴重品の管理は自己責任。
スイスの水辺は都市計画の一部として設計されている。泳げる川がある街は、泳げない街より不動産価格が高いという研究もある。水辺へのアクセスが生活の質を決める——スイスではそれが共有された価値観だ。