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スイスの産休・育児制度:北欧と比較すると「保守的」と言われる理由

スイスの産休は14週間で、北欧の1年以上と比べると短い。育児支援が充実しているとされるスイスで、なぜ少子化が進むのか。働く親の現実を数字から見る。

2026-06-22
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この記事の日本円換算は、1CHF≒178円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

スイスは「豊かな国」として知られるが、出生率は2024年時点で1.5前後(推定、出典:スイス連邦統計局 BFS)と、人口維持に必要な2.1を大きく下回る。

「豊かなのになぜ子どもが少ないのか」——その一因として、産休・育休制度の設計が挙げられる。

産休14週間の現実

スイスの母性保護法(Mutterschaftsversicherung)は、出産後14週間の産休を保障する(出典:スイス連邦社会保険局 BSV)。給与の80%が支払われる(上限あり)。

スウェーデン(480日)やドイツ(最大14ヶ月)と比べると、スイスの産休は短い。2020年には初めて父親向け有給育児休業(2週間)が法制化されたが、これも国際的に見ると短い(出典:スイス連邦社会保険局)。

保育コストの壁

産休明けに仕事に復帰するには保育所が必要だが、スイスの保育コストは欧州でも最高水準だ。フルタイム利用の場合、月2,000〜3,000CHF(約36〜53万円)かかることもある(推定)。

公的補助があるが、収入によって補助額が変わり、中所得層には恩恵が薄いケースもある。「働いて保育費を払うと手取りが減る」という計算が成り立つ家庭もある(推定)。

2005年国民投票での「否決」

保育補助を拡充する法律案が国民投票にかかった際、保守派の反対で否決されたこともある(出典:スイス連邦官房)。「国が育児に口を出すべきではない」「家庭は母親が守るもの」という価値観が一定の支持を持っていた時代があった。

近年はこの価値観も変化しており、保育インフラへの公的投資を支持する世論が増えているとされる(推定)。

在住日本人の選択

スイスに赴任した共働き夫婦が保育所を探す場合、特にチューリッヒ・ジュネーブでは待機問題がある(推定)。企業の福利厚生として保育費補助や企業内保育施設を持つところもあるが、多くはない(推定)。

日本人コミュニティ内での情報共有(どのタゲスムッター=保育ママがいるか、日本人向けのグループ保育が近くにあるかなど)が、実務的なサポートになることが多い。

豊かな国で育てることの難しさは、コストと制度設計の問題として現れる。スイスの育児支援の「遅れ」は、富の水準と必ずしも比例しないことを示している。

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