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スイス女性は軍に行かなくていい——徴兵制のジェンダー非対称と変わりゆく議論

スイスは男性のみに兵役義務を課す数少ない西欧国。女性の自主参加率の増加と、徴兵制の将来をめぐる議論の現在地。

2026-05-25
徴兵制ジェンダー兵役市民権

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スイスは永世中立国だが、すべての成人男性に兵役義務がある。18歳になると徴兵検査の通知が届き、基礎訓練(Rekrutenschule)を18〜21週間受ける。その後も30代前半まで、毎年数週間の反復訓練(Wiederholungskurs)が課される。

一方、女性には義務がない。2023年時点で、スイス軍に所属する女性は全体の約1%。自主参加は可能だが、義務ではない。

なぜ男性だけなのか

スイスの連邦憲法第59条は「すべてのスイス人男性は兵役の義務を負う」と明記している。この条文は1874年から基本的に変わっていない。

2013年の国民投票で徴兵制の廃止が提案されたが、反対73%で否決された。「スイスの安全保障と国民的一体感の基盤」という論理が支持された。ただし、女性への義務拡大は別途議論されており、連邦議会で定期的に取り上げられている。

代替役務という選択肢

兵役を拒否する男性には、民間代替役務(Zivildienst)の選択肢がある。期間は兵役の1.5倍(約390日)で、病院、高齢者施設、環境保護団体などで働く。近年はこの代替役務を選ぶ男性が増加しており、2022年には新規申請者が約6,500人に達した。

軍側はこの傾向を問題視している。「兵役逃れ」のために代替役務を選ぶ人が増えれば、軍の人員が確保できなくなるという懸念だ。

外国人には関係ない——ただし税金は関係ある

スイスに住む外国人には兵役義務はない。ただし、C許可(永住許可)を持つ男性には、兵役免除税(Militärpflichtersatzabgabe)が課されることがある。年収の3%程度で、各州の税務局から請求が届く。

スイスの二重国籍者の場合は状況がさらに複雑になる。スイス国籍を持つ男性は海外在住でも原則として兵役義務の対象だ。ただし、相手国で兵役を完了していれば免除される場合もある。

徴兵制は「国家と個人の契約」の最も原始的な形だ。スイスがこの契約をどう書き換えていくか——それは中立国の安全保障だけでなく、市民権とジェンダーの問題でもある。

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