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スイスで不動産を買うには公証人が必須——ノタール制度と契約の透明性

スイスの不動産取引には公証人(Notar)の関与が法律で義務づけられている。公証人制度の仕組みと、不動産購入時の流れを解説。

2026-05-25
不動産公証人契約購入法制度

この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。

スイスで不動産を購入する場合、売主と買主がどれだけ合意していても、公証人(Notar / Notaire)が契約書を作成し認証しなければ取引は成立しない。口約束や私文書だけでは不動産の所有権は移転しない。

日本の不動産取引では宅地建物取引士が重要事項説明を行うが、スイスでは公証人が契約書そのものを作成する。売主の代理人でも買主の代理人でもなく、取引の中立的な第三者として機能する。

公証人の役割

不動産売買において、公証人は以下の業務を行う。

  • 契約書(Kaufvertrag)の起草と読み上げ
  • 売主・買主双方の身元確認と意思確認
  • 土地登記簿(Grundbuch)への登記申請
  • 抵当権の設定・抹消

契約締結日には、公証人が売主と買主の前で契約書を一字一句読み上げる。形式的に聞こえるが、これは両当事者が契約内容を完全に理解していることを保証する法的手続きだ。

費用はいくらか

公証人の手数料は州(カントン)によって異なる。チューリッヒ州では不動産価格の約0.1〜0.3%、ジュネーブ州では約0.5%が目安だ。CHF 1,000,000(約1億7,000万円)の物件なら、公証人手数料はCHF 1,000〜5,000(約17万〜85万円)になる。

これに加えて、土地登記手数料(Grundbuchgebühr)が物件価格の約0.1〜0.5%かかる。日本の登録免許税に相当する。

外国人の不動産購入制限

スイスでは、外国人の不動産購入は「Lex Koller」(連邦不動産取得法)によって制限されている。C許可(永住許可)を持っていれば居住用物件は購入可能だが、B許可(滞在許可)の場合は自己居住用に限定される。投資目的の不動産取得は原則として認められない。

EU/EFTA国籍でない日本人の場合、C許可取得前の不動産購入には州の許可が必要になるケースがある。公証人はこの法的制限についても確認を行うため、資格のない取引が成立してしまうリスクは低い。

不動産取引における公証人の存在は、スイスの「契約は正式な手続きを経て初めて有効になる」という法文化の象徴だ。手間と費用はかかるが、取引の透明性と安全性は高い。

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