トゥーン湖畔の暮らし——ベルナー・オーバーラントの小都市に住む選択肢
ベルンから電車で20分、アルプスの玄関口にあるトゥーン(Thun)。湖と山に囲まれた人口4.5万人の小都市の家賃・交通・生活インフラと、在住者としてのリアルを整理する。
この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。
チューリッヒやジュネーブの家賃に疲れたスイス在住者が、ふと考える選択肢がある。「都市部を離れたらどうなるか」。トゥーン(Thun)はその問いに対する一つの回答だ。
人口約4.5万人。ベルン州でベルン市に次ぐ第2の都市で、トゥーン湖の北西端に位置する。ベルンまでIC/REで約20分、チューリッヒまで約1時間15分。通勤圏内でありながら、窓の外にはアイガー・メンヒ・ユングフラウが見える。
家賃と住環境
トゥーンの家賃相場は、3.5部屋(1LDK相当)でCHF 1,200〜1,600(約204,000〜272,000円)程度。チューリッヒ市内の同条件がCHF 2,000〜2,800であることを考えると、3〜4割安い。
湖沿いの物件は人気が高く、空きが出るとすぐ埋まる。旧市街(Altstadt)周辺は石造りの古い建物が多く、リノベーション済みの物件は見つけにくい。シュトラットリゲン(Strättligen)やグヴァット(Gwatt)など周辺の集落まで広げると選択肢が増える。
生活インフラ
日常の買い物にはコープとミグロがある。トゥーンのショッピングセンター「Oberland Zentrum」にはマーケット・家電・衣料品が揃い、日用品で困ることはない。
医療はSTS AG病院(Spital Thun)があり、救急対応も可能。ただし日本語対応の医療機関はない。専門医の受診はベルンまで出る必要がある場合もある。
国際学校はトゥーンにはなく、最寄りはベルン市内のInternational School of Berne。子どもの教育を考える場合、ベルンへの通学も選択肢に入る。
湖畔の暮らしの実際
トゥーン湖は夏に水温が20℃前後まで上がり、遊泳可能になる。市内にはストランドバート(Strandbad)があり、入場料はCHF 6〜8(約1,020〜1,360円)程度。湖沿いの遊歩道は散歩・ジョギング・サイクリングに使える。
冬はアルプスのスキー場が近い。アーデルボーデン、レンク、ガシュタード方面へは車で40分〜1時間程度。ベルンの都市生活とアウトドアの両方にアクセスできるのがトゥーンの立地の強みだ。
旧市街の高台にはトゥーン城(Schloss Thun)があり、アーレ川沿いにはカフェやレストランが並ぶ。規模は小さいが「歩いて楽しめる」街の良さがある。
向いている人・向いていない人
トゥーンが合うのは、自然の近くに暮らしたいがベルンの都市機能へのアクセスも必要な人、テレワーク中心で毎日の通勤がない人、静かな環境で子育てをしたい人だ。
逆に、夜の娯楽やレストランの選択肢を重視する人、国際的なコミュニティに日常的にアクセスしたい人には物足りないかもしれない。週末に映画を見に行くのもベルンまで出た方が選択肢が多い。
都市の利便性と山岳地域の豊かさのバランスを取れる場所——それがトゥーンの位置づけだ。