スイスの賃貸で家賃3ヶ月分が凍結される——Mietkautionskontoの仕組みと代替手段
スイスの賃貸契約では家賃3ヶ月分の敷金(Mietkaution)が銀行口座に凍結される。入居前に必要な資金、口座開設方法、保険型の代替手段を解説。
この記事の日本円換算は、1CHF≒170円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CHF)の金額を基準にしてください。
チューリッヒで2LDK(3.5 Zimmer)を借りると、家賃はCHF 2,500〜3,500/月(約42.5万〜59.5万円)が相場だ。入居時に必要な敷金は家賃の3ヶ月分。つまりCHF 7,500〜10,500(約127万〜178万円)が、退去するまで銀行口座に凍結される。
日本の敷金1〜2ヶ月分とは桁が違う。しかもスイスの敷金は自分の銀行口座にあるのに、自分では引き出せない。
Mietkautionskontoとは
スイスの敷金制度は法律(OR 257e条)で定められている。敷金の上限は家賃3ヶ月分。大家が直接受け取るのではなく、テナント名義の専用口座(Mietkautionskonto)に預け入れる。
この口座は大家とテナント双方の同意がなければ解約できない。退去時に大家が損傷や未払いを確認し、問題がなければ口座の凍結が解除される。解除までに30日の異議申立期間が設けられており、実際に返金されるのは退去後1〜3ヶ月後だ。
口座開設の手順
- 賃貸契約書にサインする
- 銀行でMietkautionskonto開設を申請する(UBS、ZKB、PostFinance等)
- 家賃3ヶ月分を入金する
- 銀行が発行する確認書を大家に提出する
- 鍵を受け取る
口座開設には在留許可証(Aufenthaltsbewilligung)と賃貸契約書のコピーが必要だ。
保険型の代替手段
CHF 10,000近い現金を凍結されるのがきつい場合、Mietkautionsversicherung(敷金保険)という代替手段がある。SmartCaution、SwissCautionなどが提供しており、年間CHF 200〜400(約3.4万〜6.8万円)程度の保険料で敷金の代わりになる。
ただし注意点がある。保険料は毎年かかり、退去時に返ってこない。3年以上住むなら、現金で預ける方がトータルコストは低くなる。
退去時のトラブルを避けるために
入居時にWohnungsübergabeprotokoll(入居時確認書)を大家と一緒に作成する。壁の傷、床の汚れ、設備の動作確認を細かく記録する。写真も撮っておく。
退去時にこの記録がないと、もともとあった傷を自分のせいにされるリスクがある。スイスの大家は几帳面だ。壁の画鋲穴1つで補修費を請求されることもある。
入居前の出費は大きいが、制度として透明性が高い。ルールを理解して準備すれば、日本の「礼金」のような一方的な出費よりは合理的だと感じるようになる。