中国のマンションは「スケルトン」で売られる——内装ゼロからの家づくり事情
中国では新築マンションがコンクリートむき出しの状態で引き渡される。内装を一から作る文化と在住者への影響を解説します。
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中国で新築マンションを購入すると、届くのはコンクリートの箱だ。壁紙もフローリングもキッチンもない。「毛坯房(マオピーファン)」と呼ばれるスケルトン状態。ここから自分で内装業者を手配し、数ヶ月かけて「住める部屋」に仕上げていく。
毛坯房が標準の理由
日本では新築マンションといえば内装済みが当然だが、中国では毛坯房が長年の標準だった。理由はシンプルで、購入者の好みが多様すぎるからだ。
中国の住宅文化では、内装は自己表現の場でもある。床材はイタリア製タイルにするか中国製フローリングにするか。キッチンはドイツ製システムキッチンか、オーダーメイドか。壁は塗装か壁紙か珪藻土か。すべてを購入者が決める。
デベロッパー側にとっても、内装を入れないことでコストとクレームのリスクを回避できる。「内装の質が気に入らない」というクレームは最初から発生しない。
内装費用の目安
内装費用は部屋の広さとグレードによって大きく異なる。
- 簡易内装: 500〜800元/平米(約10,500〜16,800円)。最低限住める状態
- 中級内装: 1,000〜2,000元/平米(約21,000〜42,000円)。一般的な水準
- 高級内装: 3,000元〜/平米(約63,000円〜)。輸入建材やデザイナー起用
80平米の部屋で中級内装なら、80,000〜160,000元(約168万〜336万円)。これが住宅購入費とは別にかかる。
工事は「楽」ではない
内装工事の期間は一般的に2〜4ヶ月。その間に内装会社との打ち合わせ、建材の選定・購入、工程管理、品質チェックを行う。中国語でのコミュニケーションが必須で、在住日本人にとってはかなりのハードルだ。
さらに、入居後に隣人が内装工事を始めることがある。新築マンションでは引き渡しから1〜2年は工事音が断続的に続くことが珍しくない。ドリルの音が朝8時から響く生活を覚悟する必要がある。
精装房の台頭
近年は「精装房(ジンジュアンファン)」と呼ばれる内装済み物件も増えている。デベロッパーが一定水準の内装を施した状態で販売するスタイルだ。
北京・上海・深圳などの大都市では精装房の割合が年々増加しており、特に高級物件では標準になりつつある。ただし内装のデザインや品質に選択の余地がないため、入居後に一部を剥がしてやり直す購入者もいる。
賃貸の場合
在住外国人の多くは賃貸だが、物件によって内装のレベルは天と地ほど違う。同じ築年数・同じ広さの部屋でも、オーナーの内装センスと投資額で住み心地が全く変わる。
内見の際は以下を確認する。
- 水回り(水漏れ、排水の流れ)
- エアコンの動作と製造年
- 壁のひび割れや湿気の跡
- 窓の密閉性(騒音・PM2.5対策)
- 家具・家電の状態(壊れていても「ある」と言われることがある)
家具付き物件でも、マットレスや椅子は自分で買い替える在住者が多い。衛生面とクオリティの問題で、前の住人が使ったものをそのまま使うことに抵抗がある人は少なくない。