4階がないビル、8がつく電話番号は高い——中国の数字信仰が経済を動かす
中国では数字の4は死を連想させ忌避され、8は発財を意味し珍重される。マンションの階数、電話番号、車のナンバーまで数字が価格に影響する社会。
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中国のマンションに「4階」は存在しないことがある。エレベーターのボタンが3から直接5に飛ぶ。14階も、24階も、40〜49階もない。30階建てのマンションなのに、最上階が「38階」と表示されている。
数字の「4(四、sì)」は「死(sǐ)」と発音が近いため、中国では最も忌避される数字だ。逆に「8(八、bā)」は「发(fā、発財=金持ちになる)」を連想させ、最も好まれる。
数字が価格に影響する
この数字信仰は感情の問題だけではない。経済的な実体を持つ。
- 電話番号: 8が多い番号はプレミアム価格で販売される。「138-8888-8888」のような番号はオークションでCNY 数十万(数百万円)で取引されたことがある
- 車のナンバー: 8が入ったナンバーはCNY 数万〜数十万のプレミアム。4が入ったナンバーは避けられる
- マンションの部屋番号: 「8」のつく部屋(808、1808等)は他の部屋より高く売れる。「4」のつく部屋は値引き対象になることがある
- 結婚式の日取り: 2008年8月8日に結婚した中国人カップルの数は通常の5倍以上に達した
外国人が注意すべきこと
中国でビジネスをするなら、プレゼント・会食・契約で数字に注意を払う必要がある。
- 4を避ける: 贈り物の個数、会議の日程、4階での商談は避けた方が無難
- 8を活かす: 価格設定で「88元」「888元」を使うと印象が良い
- 6も吉数: 「六六大顺(リューリューダーシュン)」で「物事が順調に進む」を意味する
- 9も好まれる: 「久(jiǔ、長い)」と同音で、永続を意味する
合理的な迷信
「迷信だ」と片付けることもできるが、この数字信仰は中国経済の中に構造化されている。不動産デベロッパーは4階を飛ばすことで販売効率を上げ、通信キャリアは8の入った番号にプレミアム課金することで収益を増やしている。
信じるかどうかは個人の自由だ。しかし、13億人がこの信仰に基づいて行動する以上、その信仰自体が経済的現実を作っている。
日本との比較
日本にも4を忌避する文化はあるが、中国ほど徹底されていない。日本の病院では4号室を避ける慣習があるが、マンションで4階を丸ごと飛ばすことはない。中国では4のつく階を全て飛ばすので、33階建てのマンションの最上階が「38階」になったりする。
面白いのは、若い世代ほどこの数字信仰が薄れているように見えて、実際には持続していることだ。WeChat(微信)の紅包(お年玉)機能では、CNY 8.88やCNY 6.66を送る人が圧倒的に多い。デジタルネイティブ世代でも、数字の力を信じている——あるいは、信じていなくても行動に組み込んでいる。
4階がないマンションは迷信の産物ではなく、需要に応じた合理的な設計だ。