廃品回収おじさんが消える中国——「收废品」からスマホアプリへの移行
中国の街角で段ボールや空き瓶を買い取っていた廃品回収人が減少している。代わりにアプリで回収を依頼する新システムと、リサイクル経済の変化。
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中国の住宅地を自転車のリアカーで回り、「收废品(ショウフェイピン)!」と叫ぶおじさん。段ボール、ペットボトル、古い家電——何でも重さで買い取る。この光景が中国の都市から急速に消えつつある。
2019年に上海で始まったゴミ分別義務化が全国に広がり、従来の非公式な廃品回収ネットワークが公式なリサイクルシステムに置き換えられている。スマートフォンアプリ「爱回收(Aihuishou)」や各自治体の公式リサイクルアプリが、廃品回収おじさんの仕事をデジタル化した。
旧来のシステム
中国の廃品回収は巨大な非公式経済だった。推定で数百万人が廃品回収に従事し、回収した資源は中間業者を経て工場に送られる。段ボールはCNY 0.5〜1.0/kg(約10.5〜21円)、ペットボトルは1本CNY 0.05〜0.1(約1〜2円)で買い取られていた。
このシステムは効率的だった。ゴミとして捨てられるはずのものを、市場原理で回収・選別・再資源化していたからだ。行政のコストゼロで、リサイクル率を押し上げていた。
何が変わったのか
ゴミ分別の義務化により、住民は自分でゴミを4分類(リサイクル可能・有害・厨房ゴミ・その他)に分けることが求められるようになった。分別しないと罰金がCNY 50〜200(約1,050〜4,200円)発生する。
アプリで廃品回収を依頼すると、指定した時間に作業員が自宅まで来て、重量を計測し、WeChatPayで即座に入金される。段ボールCNY 0.7/kg、古着CNY 0.3/kg、古い家電は品目ごとの固定価格。透明性と利便性では旧来の方式を上回る。
外国人としての対応
マンションの管理組合(物业)にゴミ分別のルールを確認するのが最初のステップだ。多くのマンションではゴミ置き場に分別ガイド(中国語)が掲示されている。
大型の不用品(家具、家電等)は、アプリで回収依頼するか、小区の管理人に相談すると対処してもらえる。路上に放置すると罰金の対象になることがある。
ペットボトルのデポジット制
一部の都市では、ペットボトルや缶を回収機に入れるとWeChatPayやAlipayにデポジットが返金されるシステムが導入されている。地下鉄の駅構内やスーパーの入口に設置されたリサイクル機に空き缶を入れると、1本CNY 0.04〜0.1(約0.8〜2.1円)が即座にチャージされる。
金額は小さいが、ゲーム感覚でリサイクルする若者が増えている。技術的には日本のリサイクルシステムより先を行っている部分もある。
廃品回収おじさんは、都市化と制度化の波に飲み込まれつつある。しかし地方都市や古い住宅地では、今も「收废品!」の声が聞こえる。デジタル化が全てを覆い尽くすには、中国はまだ十分に広い。