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中国の結婚式は「赤字」が前提——祝儀・持参金・住宅購入が絡む結婚の経済学

中国の結婚には日本以上の経済的負担がある。彩礼(持参金)、住宅購入、披露宴の費用構造と変化を解説します。

2026-05-12
中国結婚文化費用彩礼

この記事の日本円換算は、1CNY≒21円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(CNY)の金額を基準にしてください。

中国で結婚するには、まず家を買う。これは比喩ではなく、多くの地域で結婚の「前提条件」だ。新郎側が住宅を用意し、新婦側に彩礼(ツァイリー=持参金)を支払い、さらに披露宴を開く。北京や上海では、結婚にかかる総コストが100万元(約2,100万円)を超えることも珍しくない。

彩礼(持参金)制度

彩礼は新郎側の家族が新婦側の家族に支払う金銭だ。歴史的には「嫁いでくれることへの感謝」の意味があったが、現代では金額が高騰し、社会問題になっている。

地域差が非常に大きい。都市部では50,000〜200,000元(約105万〜420万円)が相場。農村部では100,000〜300,000元(約210万〜630万円)に達する地域もある。農村の方が高い傾向があるのは、若い女性が都市部に流出し、農村では「嫁不足」になっているためだ。

2024年に最高人民法院が「高額な彩礼の返還請求を認める」指針を出すなど、政府も過度な彩礼の抑制に動いている。しかし慣習は簡単には変わらない。

住宅が結婚の入場券

「有房有車(家と車がある)」——これが結婚相手の条件としてよく挙げられるフレーズだ。特に住宅は、新郎側が用意するのが暗黙のルールとなっている地域が多い。

北京のマンション価格は1平米あたり50,000〜100,000元(約105万〜210万円)。60平米の物件でも300万〜600万元(約6,300万〜1億2,600万円)。若い世代が自力で購入するのは不可能に近く、親世代が頭金を援助するのが一般的だ。「6つの財布(両親+祖父母4人)」で住宅を買うという表現がある。

披露宴の費用

披露宴は100〜500人規模が標準。テーブル単位で計算され、1テーブル(10人)あたり2,000〜8,000元(約42,000〜168,000円)。20テーブルなら40,000〜160,000元(約84万〜336万円)だ。

参列者は「随礼(ズイリー=祝儀)」を持参する。金額は関係の深さと地域で異なる。友人なら200〜500元(約4,200〜10,500円)、親しい友人や同僚で500〜1,000元、親族で1,000〜5,000元。祝儀は偶数が縁起が良いとされ、奇数は避ける(200、600、800、1,000など)。「4」は避け、「8」は好まれる。

変わりつつある若い世代

都市部の若い世代では、彩礼を廃止したり、少人数の海外ウエディングを選んだりするカップルも増えている。「裸婚(ルオフン)」と呼ばれる、住宅も車も彩礼もなしの結婚も話題になった。

とはいえ、親世代の期待と地域の慣習は強い。「本人たちは構わないが、親が許さない」というパターンが多い。面子の文化が結婚にも色濃く影響している。

在住日本人のケース

中国人パートナーと結婚する場合、彩礼や住宅購入の問題は避けて通れないことがある。相手の出身地域と家族の価値観によって、求められるものが大きく異なる。

在住日本人同士の結婚であれば、中国の結婚登記(結婚証の取得)は日本大使館・領事館経由で行う。手続き自体はシンプルだが、中国での結婚式を挙げるなら、ゲストの祝儀文化を理解しておく必要がある。日本式の3万円ルールは通用しない。

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