北京と三線都市——中国の「都市格差」は日本の想像を超えている
中国では都市を「線」で格付けする文化がある。一線都市(北京・上海・深圳・広州)と三線以下の地方都市では、賃金・物価・生活水準・機会の格差が極めて大きい。
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中国では都市を「線(せん)」で格付けする文化がある。北京・上海・深圳・広州は「一線都市(イーシェン)」、成都・武漢・杭州・南京などは「新一線」または「二線都市」、それ以下の地方都市は「三線」「四線」「五線」と続く。
これは公式の行政区分ではなく、メディア・不動産・ビジネス界が使う実務的な分類だが、日常会話でも当たり前に使われる。
一線都市と三線都市の差は、数字で見るとわかりやすい。
北京・上海の平均月収(可処分所得ベース)は三線都市の2〜3倍以上という推計がある(地域統計局データ)。しかし生活コスト(特に家賃)も一線都市のほうが格段に高い。一線都市の家賃は三線都市の4〜6倍以上になることも珍しくない。
同じ給料でも「一線都市で5,000元(約11万円)」と「三線都市で3,000元(約6.6万円)」では、実質的な生活の豊かさが大きく異なる場合がある。
生活インフラの差も大きい。一線都市は地下鉄・高速鉄道・病院・大学・エンタメ施設が集積している。三線以下の都市は車社会で、移動・医療・教育のアクセスに差がある。
一方で三線都市の良さもある。家賃が安い、通勤時間が短い、人間関係が濃い、物価が低い——「一線に疲れて三線に帰る」という選択をする人も増えている。
外国人が中国に赴任・移住する先は、ほとんどの場合一線都市か新一線都市だ。この都市に住んでいる限り「中国の現実」の一面しか見えていないことを知っておく価値がある。
「上海で見た中国」は、河南省の三線都市で見る中国とは別の国のように感じることがある。中国という一つの名前の下に、複数の生活水準・文化・価値観が同居している——その多様性の実感が、長期在住者が持つ中国理解の核心のひとつだ。