砂漠が迫ってくる——中国の砂漠化対策と「緑の長城」プロジェクト
ゴビ砂漠は年々拡大し、北京にまで黄砂・砂嵐を送り込んできた。中国政府は「三北防護林」プロジェクトで数十年かけて砂漠化を食い止めようとしている。その成果と課題。
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春になると北京の空が黄色く霞むことがある。ゴビ砂漠・タクラマカン砂漠から運ばれる砂と塵が都市を覆う「砂嵐(サチェン)」だ。この現象は北京だけでなく、韓国・日本まで届く黄砂として認識されている。
中国の国土の約26%(推定)が砂漠化または砂漠化が進行中の土地とされており、これは日本の国土面積の数倍に相当する規模だ。
砂漠化の原因は複合的だ。過放牧(草地の破壊)、農地の過剰開墾、工業・都市開発による植生破壊、気候変動による降水量の変化——これらが相互に作用して進行した。
1978年から中国政府が開始した「三北防護林体系(サンベイファンフーリン)」、別名「緑の長城」は、北部・西北・東北の砂漠化地帯に大規模な植林を行い砂漠の拡大を食い止めようとするプロジェクトだ。約70年計画(2050年完成目標)で、世界最大規模の生態系回復プロジェクトとして知られている。
成果は一部で出ている。内モンゴル・陕西北部などの一部エリアでは砂漠化が改善・緑化が進んだという報告がある。衛星画像では中国北部の一部地域での緑増加が観測されている。
しかし課題も指摘されている。植えた樹木が乾燥地帯の環境に適合しておらず、大量枯死が起きた地域がある。地下水を大量消費する種類の木を植えることで、逆に水不足を悪化させるという逆効果が報告されたケースもある。「植えれば良い」という単純な解決策ではなく、生態学的な適合性を考慮した植林の重要性が認識されてきた。
中国の砂漠化問題は、日本にも黄砂という形で直接影響が届く越境環境問題だ。中国の環境対策の成否は、中国国内だけでなく東アジア全体の大気環境に関係している。