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中国語は「ひとつの言語」ではない——広東語・上海語と方言の現実

「中国語を話せる」と言ったとき、それは北京語(普通話)のことが多い。しかし広東語・上海語・閩南語は北京語と互いに通じない。中国の言語多様性の現実と、外国人が知るべき方言事情。

2026-06-03
方言広東語言語

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「中国語が分かる」と言うと、中国のどこでも通じると思われることがある。しかしそれは普通話(プートンホア、いわゆる北京語・標準中国語)が分かる、という意味に近い。広東省・香港で話される広東語(カントニーズ)は、北京語と互いに話し言葉が通じない。上海語(呉語)も、北京語話者には聞き取れない。

中国の「方言」は、ヨーロッパの国家を跨ぐ言語差に匹敵する場合がある。


中国では1949年以降、全国共通語として「普通話」の普及が進められてきた。学校教育・テレビ・政府行政はすべて普通話で行われ、2020年代の若い世代の普通話普及率は大幅に向上した。

しかし老世代・農村部・一部の都市(特に広州・香港・澳門・汕頭など)では、地域の言語が日常の家庭語として生き続けている。高齢者に北京語で話しかけても通じない、という経験をする外国人は今もいる。


広東語(粤語)は話者が多い中国語族の言語で、香港・マカオ・広東省の一部、そして海外の中国人コミュニティ(東南アジア・北米・オーストラリア)で広く話される。香港の映画・音楽(カントポップ)によって国際的な知名度が高く、「中国語といえば広東語」という認識を持つ国もある。

香港では2019年以降の政治的変化の中で、広東語を「アイデンティティの象徴」として維持することへの意識が一部で高まっている。


上海語(呉語の一方言)は上海市民、特に中高年層の間で使われる。「上海人同士では上海語で話す」という習慣は今も根強く、部外者への「排他性」として語られることもある。ただし若い世代の上海語使用率は普通話優位の教育の影響で低下しているとされる。


外国人が中国で生活する場合、普通話(HSK)を学ぶことが基本だ。北京・上海・成都・西安のような主要都市では普通話で十分対応できる。ただし広州やホンコン周辺で仕事・生活する場合は、広東語の基礎知識があると日常の摩擦が大きく減る。

「中国語の勉強を始めた」という人が北京語を学ぶことは合理的だが、中国という国の言語の多様さは、普通話の習得だけでは触れられない奥行きを持っている。

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