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スマホを持たない高齢者が「存在しない」社会——中国のデジタル格差

中国ではスマホ・WeChat・QRコードがなければ支払いも移動もできない場面が増えた。デジタルインフラが急速に整備された一方で、スマートフォンを使えない高齢者・農村住民が排除される問題。

2026-06-25
デジタル格差高齢者デジタル化

この記事の日本円換算は、1CNY≒22円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

中国の都市は世界でも有数のキャッシュレス社会だ。路上の屋台でもWeChatペイ・Alipayでの支払いが標準で、現金で払おうとすると断られたり困った顔をされることがある。

この利便性の反面、スマートフォンを使いこなせない人が日常生活で困難に直面する問題が顕在化した。


2020年以降、コロナ禍での健康コード(健康码)の義務化で問題が一気に表面化した。公共交通・商業施設・病院への入場にスマートフォンによる健康コードの提示が求められた時期があり、スマホを持たない高齢者や使い方が分からない農村出身者が入場を拒否されるケースが相次いで報告された。

高齢者がバスに乗れない、病院の受付でコードが出せず診察を断られる——こうした事例がSNSで拡散し、社会的な問題として取り上げられた。


2020年末、中国国務院は「スマートフォンを持たない・使えない高齢者等への差別的扱いを禁止する」旨の政策指針を発表した。現金払いの受け入れを義務化するよう求め、デジタルサービスにアクセスしやすいインターフェイスの整備を推奨した。

この政策以降、一部の公共サービスでは高齢者向けに「窓口対応」や「現金払い」を維持・回復させる動きが出た。ただし全体としてはデジタル化の流れは続いており、現場での対応は施設によってばらつきがある。


農村部と都市部の格差もデジタル格差に直結している。スマートフォンの普及率・インターネット接続環境・デジタルリテラシーは都市部より農村部で低い傾向がある。「行政サービスをオンラインで完結させる」方向性は農村部住民にとってアクセス障壁になりうる。

外国人が中国に住む際も、WeChat・Alipay・中国銀行口座なしでは生活が難しくなっている現実がある。スマートフォンとこれらのアプリのセットアップは、渡航直後の最初の優先事項だ。

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