世界最大の映画市場——中国の映画産業と外国映画の壁
中国は年間興行収入で世界最大または米国に次ぐ規模の映画市場だ。しかし外国映画には上映枠の制限があり、内容審査も厳しい。中国映画市場の構造と外国人にとっての映画体験。
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中国の映画興行市場は、年によって米国と世界最大の座を争う規模だ。人口の多さと映画館数の急増(特に2010年代)が、この規模を作り出した。IMAXや4D上映など高付加価値スクリーンの普及も進んでいる。
しかし外国映画がこの市場に参入するには高いハードルがある。
中国政府は外国映画の輸入上映枠を設けており、年間34本の分成映画(興行収入を分配する契約方式)と一定本数の売り切り映画(買い取り方式)しか外国映画は一般公開できない。
この枠に入るためには、まず中国の規制当局(国家電影局)による審査をパスする必要がある。中国の政治体制・歴史観・民族問題に否定的に映る表現、チベット・台湾・天安門に関する描写、中国軍・政府を悪役にした設定——これらは許可が下りないか、カット・修正を求められる。
ハリウッド大作が中国向けに内容を変えたり、中国企業との合同製作に変更した事例は少なくない。
中国の国産映画は内向きに強化されてきた。愛国主義的なテーマの戦争映画、歴史ドラマ、コメディ——中国人観客向けに特化した作品がヒットする構造が確立している。「戦狼(ウォーウルフ)」シリーズや「長津湖」などの愛国映画が記録的な興行収入を挙げた。
Spring Festival(春節)と国慶節(建国記念日、10月1日前後)の大型連休前後が映画の興行が集中するシーズンで、この時期に大型国産映画が集中投入される。
中国に住む外国人が映画を見る方法は複数ある。上映中の映画は一般的に字幕版・吹き替え版の両方で公開されることが多い(映画・上映館による)。MaoyanやTaopiaoなどのチケットアプリで事前予約できる。
NetflixはVPNなしには使えないが、騰訊視頻(Tencent Video)・優酷(YouKu)・愛奇芸(iQIYI)といった中国の動画配信プラットフォームでは、許可された外国映画・ドラマが視聴できる。中国向けに認可されたコンテンツという前提がある点は、VPNなし生活の制限のひとつだ。