中国の医療——公立病院の混雑と外国人向けインターナショナルクリニック
中国の公立病院は混雑が激しく、外国語対応は限定的。在住外国人が選ぶインターナショナルクリニックの費用・特徴と、緊急時の対応方法を解説します。
この記事の日本円換算は、1CNY≒21円で計算しています(2026年4月時点)。
中国の公立病院(三级医院)は高い技術を持つ医師が揃っているが、外国人在住者が一人で受診するには言葉の壁・混雑・システムの違いが大きな障壁になる。初診の待ち時間が2〜4時間以上になることも珍しくない。
公立病院の現実
中国の公立病院は「等级」という評価制度があり、三级甲等(最高ランク)に近いほど専門医・設備が充実している。北京協和医院・上海交通大学医学院附属病院・四川大学華西医院などは中国トップクラスの医療機関だ。
費用は安い。外来診察料が30〜100CNY(約630〜2,100円)程度で、日本の自由診療と比べて格安で質の高い治療を受けられる可能性がある。ただし英語対応の医師は少なく、外国人一人での受診は困難な場合が多い。通訳同行・WeChat翻訳・中国語の書きメモを活用する在住者もいる。
インターナショナルクリニックの選択肢
外国人在住者の多くが選ぶのは「インターナショナルクリニック(外籍人士诊所)」だ。主要都市に複数存在し、英語・日本語を話せる医師が在籍していることが多い。
上海の代表的なクリニック:
- 上海西郊百汇医院(Shanghai United Family Hospital):外資系。英語対応が充実
- 新加坡SOS国际诊所:救急・一般内科・専門外来
- 上海和睦家医院(Raffles Medical)
北京の代表的なクリニック:
- 北京和睦家医院(Beijing United Family Hospital):外資系総合病院として在住外国人に知られている
- 北京美中宜和:産婦人科・一般内科
費用は公立病院より大幅に高く、内科の初診で500〜1,500CNY(約1.05万〜3.15万円)、専門医での診察は2,000〜5,000CNY(約4.2万〜10.5万円)程度が目安だ。
健康保険との関係
駐在員の多くは会社の海外駐在員向け健康保険(アリアンツ・AXA・シグナ等)に加入しており、インターナショナルクリニックでの診療費がカバーされる。保険証とクリニックのダイレクトビリング契約があれば、その場での支払いなしで受診できるケースもある。
現地採用・個人事業主の場合は自費負担になるため、インターナショナルクリニックの費用が大きな負担になりうる。公立病院に中国語話者に同行してもらう方法と、インターナショナルクリニックを使い分けている在住者も多い。
緊急時の対応
中国の緊急電話は「120」(救急)。英語での対応は難しいケースが多い。上海・北京のインターナショナルクリニックは緊急連絡先を設けているところが多く、夜間緊急連絡先を把握しておくことは在住者の基本的な備えだ。
予防接種(狂犬病・日本脳炎・A型肝炎等)はインターナショナルクリニックで受けられることが多い。中国では狂犬病のリスクが一部地域で依然存在するため、渡航前の接種を確認しておく選択肢もある。