中国の996文化と労働法、過労は違法なのに当たり前な矛盾
中国のテック業界で広まった「996」(朝9時〜夜9時・週6日勤務)は労働法違反ですが長年横行しました。現在の状況、外資系企業との違いを解説します。
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「996」という数字を聞いた時、中国のテックワーカーは苦笑いする。朝9時から夜9時まで、週6日働く——を指すスラングで、2010〜2020年代前半に特にIT業界で広まった働き方だ。法律上は週40時間労働が原則なのに。
中国の労働法の規定
中国の労働法(1994年施行)では、1日8時間・週40時間を標準労働時間と定めている。残業は原則1日3時間、1ヶ月36時間を超えてはならないと規定されており、残業代の支払い義務もある。
法律の規定だけ見ると日本の労働基準法と大きく変わらない。問題は執行の現実だ。
なぜ996が横行したのか
中国のテック業界では「会社の成長のためには過労も当然」という価値観が強まった時期がある。Alibaba創業者がかつて「996は祝福だ」と発言して批判を受けたことは広く知られた出来事だ。
労働法違反を訴える労働者側のコストが高く、企業側の力が強いという構造的な問題があった。また急速な経済成長期に「今頑張れば報われる」という期待感が長時間労働を容認させた面もある。
変化の兆し
2021年以降、中国最高人民法院と人力資源社会保障部が「996は違法」と明確に判示し、いくつかの企業に是正を求める流れが強まった。
若い世代(「躺平」=寝そべり主義)が無理な競争に参加しない選択をするカウンターカルチャーが広がり、企業側も過労強制の維持が難しくなってきている。
現在の外資系企業との比較
外資系企業(日系・欧米系)は基本的に中国の労働法を遵守する形で運営しており、残業代の支払いや休日取得が守られているケースが多い。
中国のローカル企業(特に民営のスタートアップ)は依然として長時間労働が文化として残っているところもあるが、状況は徐々に変化している。
日本人駐在員のケース
中国に赴任する日本人駐在員の場合、雇用形態は日本本社との契約が継続する場合がほとんどで、中国の労働法が直接適用されるわけではない。ただし現地スタッフとの勤務時間の乖離(駐在員は定時で帰るが現地スタッフは残業している等)が関係性に影響する場合があることは認識しておきたい。