Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
文化・社会構造の分析

厕所革命——中国のトイレが変わった10年

習近平政権が「厕所革命(トイレ革命)」を宣言し、農村・観光地のトイレ整備に国家が動いた。かつて「汚い」と言われた中国のトイレは、都市部から農村まで変わりつつある。

2026-06-29
トイレ衛生インフラ農村整備

この記事の日本円換算は、1CNY≒22円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

「中国のトイレは汚い」——これは2010年代まで外国人旅行者の間でほぼ共通した認識だった。農村では汲み取り式の穴だけ、観光地でも管理が行き届かず、臭気と汚れが酷い公衆トイレが珍しくなかった。

2015年、習近平総書記がこの問題を「厕所革命(ツースォ・ガーミン)」として政策課題に掲げた。国家が「トイレを変える」と宣言した。


厕所革命の主な対象は3つだ。農村部の家庭用トイレの水洗化・衛生改善、公共トイレ(観光地・高速道路SA・農村集落)のリニューアル、都市公衆トイレの増設・管理向上だ。

農村部での衛生的なトイレ普及は単なる快適性の問題ではなく、感染症対策・農地汚染防止という公衆衛生上の意味も持つ。農村家庭への水洗トイレ設置補助金が支給され、数千万戸規模の改善が行われたとされる(推定)。


観光地でのトイレは大きく変わった。人気観光地(国家5A級景区)では清潔な有人管理のトイレが整備され、スマートトイレ(自動洗浄・混雑状況表示・空き情報アプリ連動)も一部で導入されている。

2010年代と比べると、都市部・観光地のトイレ環境は確実に改善した——これは多くの外国人旅行者・在住者の共通する感想だ。


農村の変化はより劇的だ。100年以上使い続けられた「旱厕(ハンツェ)」(汲み取り・穴式のトイレ)が水洗トイレに置き換わったことで、高齢の農村住民も「こんなに快適になった」と驚くケースがある。

日本人の感覚では「トイレが政策課題になる」こと自体に違和感を覚えるかもしれない。しかし衛生インフラの格差が農村と都市で長年続いていた国において、「トイレを変える」ことは生活の質の底上げとして意味がある。厕所革命は地味だが、中国の農村生活改善政策の中でも実感しやすい成果のひとつだ。

コメント

読み込み中...