ドイツの薬局で風邪薬を買うのに処方箋がいる——Apothekeが握る医薬品流通の構造
ドイツのApotheke(薬局)は日本のドラッグストアとは全く異なる。処方箋なしで買える薬が限られ、薬剤師の裁量権が強い独自の医薬品流通構造を解説する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
日本で風邪を引いたらコンビニかドラッグストアで薬を買う。ドイツで風邪を引いたら、Apotheke(アポテーケ)に行くしかない。スーパーマーケットやドラッグストア(dm、Rossmann等)では医薬品を一切販売していない。
シャンプーや日焼け止めはdmで買える。だがイブプロフェンの錠剤はApothekeでしか手に入らない。
3段階の医薬品分類
ドイツの医薬品は3段階に分類されている。
処方箋必須(Verschreibungspflichtig): 抗生物質、降圧剤、抗うつ薬等。医師の処方箋がなければ購入できない。処方箋薬の自己負担は1品目あたり€5〜€10(約800〜1,600円)。残りは健康保険がカバーする。
薬局専売(Apothekenpflichtig): イブプロフェン、パラセタモール、花粉症の抗ヒスタミン薬等。処方箋は不要だが、Apothekeでのみ購入可能。薬剤師に症状を伝えて購入する。全額自己負担で、イブプロフェン400mg 20錠で€5〜€8(約800〜1,280円)程度。
自由販売(Freiverkäuflich): ハーブティー、ビタミン剤等。dmやスーパーでも販売可能。だが品目は非常に限定されている。
Apothekeの営業時間と夜間・休日対応
通常の営業時間は月〜金の8:30〜18:30、土曜は午前中のみ。日曜・祝日は閉まる。
だが「Notdienst-Apotheke」(当番薬局)制度があり、夜間・日曜・祝日でも地域に1軒は営業している薬局がある。当番薬局の検索はapotheken.deで郵便番号を入力すれば表示される。深夜の購入には追加料金€2.50がかかる。
日本の常備薬を持ち込む注意点
日本から薬を持参する場合、「個人使用の範囲」であれば通常は問題ない。ただし、覚醒剤取締法の対象となる成分(エフェドリン等)を含む日本の風邪薬や鼻炎薬は、ドイツでも規制対象になりうる。
パブロンやコンタック等の日本の市販薬には、ドイツで処方箋が必要な成分が含まれていることがある。大量持ち込みは避け、必要に応じて英語の処方箋または薬の成分リスト(英語表記)を携帯しておくのが安全だ。
オンライン薬局(Versandapotheke)
ドイツではオンライン薬局が合法で、処方箋不要の薬であればオンラインで購入できる。DocMorris、Shop Apotheke等が大手。店頭より10〜30%安いことが多い。
2024年からはE-Rezept(電子処方箋)が全面導入され、処方箋薬もオンライン薬局で受け取れるようになった。Gesundheitskarte(保険証)をリーダーにかざすだけで処方データが薬局に送信される。
Apothekeの店頭では薬剤師が丁寧に説明してくれる。ドイツ語に自信がなければ「Sprechen Sie Englisch?」と聞けば、多くの薬剤師が英語で対応してくれる。