ドイツが二重国籍を解禁——2024年国籍法改正が変えたこと
2024年、ドイツは二重国籍を広く認める国籍法改正を実施しました。長年「ドイツ国籍取得=元の国籍放棄」だったルールはどう変わったのか、日本人への影響を解説します。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
2024年6月、ドイツの国籍法(Staatsangehörigkeitsgesetz)が大幅に改正された。最大の変更点は、二重国籍(Mehrstaatigkeit)の原則的な容認だ。
これまでドイツ国籍を取得するには、原則として元の国籍を放棄する必要があった。この「一国籍主義」のハードルが、多くの外国人居住者がドイツ国籍取得を躊躇する理由のひとつだった。
何が変わったか
改正国籍法の主な変更点:
二重国籍の容認:EU市民や特定の条件を満たす第三国国民も含め、帰化時に元の国籍を保持できるようになった。
帰化要件の短縮:以前は原則8年の合法的な在留が必要だったが、5年に短縮。特別な貢献(ボランティア活動、ドイツ語能力等)があれば3年での帰化も可能になった。
移民子孫への適用(Jus Soli):ドイツ生まれの子どもは、片親がドイツで5年以上合法的に在留していれば出生時にドイツ国籍を取得できる(Jus Soliの拡大)。
日本人への具体的な影響
日本は日本側の法律で二重国籍を原則として認めていない(国籍法第11条:外国の国籍を取得した場合、日本国籍を喪失する)。
つまり日本人がドイツに帰化した場合、ドイツ法では元の国籍(日本)を保持することが認められるようになったが、日本の法律上は日本国籍を失うことになる。
「ドイツが認めても、日本が認めない」——この非対称性は変わっていない。長期在独で将来帰化を考える日本人には、日本側の国籍法も並行して確認する必要がある(最終的な判断は専門家への相談を推奨する)。
帰化の基本要件(2024年改正後)
- 合法的な在留5年(特例で3年)
- B1レベル以上のドイツ語能力
- 自活能力(公的支援に依存しないこと)
- 刑事罰がないこと
- 基本法への同意
加えて、「反ユダヤ主義的・反民主主義的」な姿勢を持つ者は帰化を拒否できるという条項も新設された(背景にはドイツの歴史認識がある)。
永住権(Niederlassungserlaubnis)との違い
永住権(Niederlassungserlaubnis)はドイツに無期限に在留できる権利で、帰化(国籍取得)とは別物だ。永住権では選挙権は得られないが、就労・社会保障はドイツ国民と同等に近い形で保障される。まず永住権取得を目指し、その後に帰化を検討するという段階的なルートが一般的だ。