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ドイツの学校制度ガイド——10歳で人生が分岐する教育システム

ドイツでは小学校4年生(10歳)で進路が3つに分かれる。Gymnasium、Realschule、Hauptschuleの違い、日本人家庭の学校選び、ドイツ日本人学校の選択肢まで在住者向けに解説。

2026-05-16
ドイツ教育学校制度Gymnasium子育て駐在

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ドイツの公立学校の授業料は、小学校から大学まで無料だ。ただしその代償として、子どもは10歳で人生を左右する分岐点に立たされる。

Grundschule(基礎学校): 6〜10歳

全員が通う小学校。4年間(ベルリンとブランデンブルクのみ6年間)。ここまでは日本と同じ感覚で通える。

授業はドイツ語で行われる。ドイツ語が不十分な子ども向けにDaZ(Deutsch als Zweitsprache / 第二言語としてのドイツ語)クラスを設けている学校もある。

成績は1(最高)〜6(最低)の6段階。4年生の成績と教師の推薦で、次の学校が決まる。

10歳の分岐——3つの進路

Gymnasium(ギムナジウム): 大学進学コース。8〜9年間。卒業時にAbitur(アビトゥーア)という大学入学資格を取得する。Abiturの成績が大学入学の選考基準になる。医学部のように競争率が高い学部では、Abiturの成績が1.0〜1.3でないと入れない。

Realschule(実科学校): 中等教育コース。6年間。卒業後は職業訓練(Ausbildung)に進むか、成績次第でGymnasiumに編入する。商業系・技術系の実務教育が強い。

Hauptschule(基幹学校): 5年間。手工業・サービス業の職業訓練に直結する。近年は州によって統廃合が進み、Realschuleと統合した「Gesamtschule(総合学校)」に移行するケースが増えている。

この制度への批判は根強い。10歳の子どもの将来を教師の評価で分岐させるのは早すぎる、という議論はドイツ国内でも続いている。実際、移民家庭の子どもがGymnasiumに推薦される割合はドイツ人家庭より低い——言語のハンディが進路に直結する構造だ。

日本人家庭の選択肢

ドイツには3つの日本人学校がある。いずれも文部科学省の認定校で、日本のカリキュラムに準拠している。

  • デュッセルドルフ日本人学校: 欧州最大の日本人学校。小学部・中学部。デュッセルドルフは欧州最大の日本人コミュニティがある
  • フランクフルト日本人学校: 小学部・中学部
  • ベルリン日本人国際学校(BJIS): 小学部のみ。中学部は2025年時点で未設置

補習校(土曜校)はハンブルク、ミュンヘン、シュトゥットガルトなど主要都市に複数ある。現地校に通いながら週末に日本語を維持するパターンだ。

現地校に通わせる場合

ドイツ語ゼロの状態で現地校に入ることは可能だ。多くの学校がWillkommensklasse(ウェルカムクラス)を設けており、ドイツ語の集中授業を受けながら段階的に通常クラスに合流する。

子どものドイツ語習得は驚くほど速い。半年〜1年で日常会話は問題なくなるケースが多い。ただしGymnasiumの授業についていくには学術的なドイツ語力が求められるため、家庭でのサポートが欠かせない。

費用面では、公立校は完全無料。教科書も貸与(州による)。給食は別途€3〜€5(約480〜800円)/日程度。

インターナショナルスクール

駐在期間が決まっている家庭にはインターナショナルスクールという選択肢もある。年間の授業料は€15,000〜€30,000(約240万〜480万円)。英語での教育、IB(国際バカロレア)カリキュラムが一般的だ。

ベルリン、フランクフルト、ミュンヘン、デュッセルドルフに複数校ある。企業の駐在員は学費が会社負担のケースが多いが、現地採用の場合は自己負担になるため慎重な検討が必要だ。

大学は無料——ただし生活費は自己負担

ドイツの公立大学は、EU市民もEU外の留学生も授業料が原則無料だ(バーデン=ヴュルテンベルク州のみEU外学生に€1,500/学期を課金)。学期ごとのSemesterbeitrag(学生負担金)€100〜€400(約16,000〜64,000円)のみ。これにはSemesterticket(公共交通の学期定期券)が含まれている。

授業料がない代わりに、生活費は自力で工面する。月€934(約149,440円)がビザ取得に必要な最低生活費の証明額(Sperrkonto / ブロック口座に12ヶ月分を事前入金)。


主な参照: KMK(各州文部大臣会議)学校制度概要、BAMF(連邦移民難民庁)Willkommensklasse制度、外務省 在独日本人学校一覧、AufenthG§16b 留学ビザ要件

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