自動車産業の国の岐路——ドイツはEV転換に乗り遅れるのか
BMWとメルセデスとVWを生んだドイツが、電気自動車(EV)の時代に苦戦しています。雇用200万人を支える自動車産業の変革の実情と、在住者が感じる現場の空気を伝えます。
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「Made in Germany」という言葉は、19世紀末にイギリスが輸入品の産地を表示させるために法律で義務付けたことが起源だ。「ドイツ製」を貶める意図だったのが、いつの間にか品質の保証を意味するブランドになった。
その「ドイツ製」のシンボルが、自動車産業だ。
自動車産業のドイツへの影響
Volkswagen(VW)、BMW、Mercedes-Benz、Audi、Porsche——これらはドイツを代表するグローバルブランドだ。ドイツの自動車産業は、部品メーカーを含む関連雇用で推計200万人以上を支えていると言われる(業界団体VDA等の推計)。
GDPへの貢献、輸出収入、雇用——ドイツ経済において自動車産業が持つ重みは極めて大きい。
EV転換の遅れという批判
2020年代前半、テスラや中国のBYDなどのEV専業メーカーが台頭する中、ドイツの伝統的メーカーは「EVへの移行が遅れた」という批判を受けてきた。
この背景には、ハイブリッド・内燃機関(ICE)での高い競争力が「変革の必要性」を見えにくくさせた側面があるとも言われる。また、自動車産業と組合(IG Metall)・政治の密接な関係が、大胆な転換を難しくする構造もある。
VWは2023〜2024年にかけて工場閉鎖・人員削減の議論が起き、ドイツ国内で大きな社会問題になった。
在住者として見る自動車の日常
ドイツの道路を走ると、今もガソリン・ディーゼル車が大多数だ。EVの充電インフラは拡充されつつあるが、アパート住まいでは自宅充電が難しいという現実がある(駐車場に充電設備がないケースが多い)。
一方で、公共の急速充電スタンドは高速道路サービスエリアや都市部に増えている。完全EVに切り替えた家族も確実に増えている。
「自動車の国」ドイツが電動化にどう対応するか——これはドイツ社会と経済の行方を決める問いでもある。答えが出るのは、まだ先のことだ。