10歳で進路が分かれる——ドイツの三分岐学校制度という選択
ドイツでは小学校4年生(一部の州は6年生)の時点で、3種類の中等学校のどこに行くかが決まります。早い年齢での振り分けは「機会の平等」に反するのかを考えます。
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10歳の子どもが、どんな大学進学ルートに進むかを実質的に決める。
日本では中学・高校が一般的な形で続き、大学入試で進路が分かれる。ドイツは違う。多くの州では、小学校(Grundschule)4年生の終わり(10歳前後)に、3つの中等学校のどれに進むかが決まる。
3種類の学校
Gymnasium(ギムナジウム):大学進学を前提とした高度な教育課程。12〜13年間の教育後に「Abitur(アビトゥーア)」という大学入学資格を取得する。
Realschule(レアールシューレ):中程度の職業的・学術的教育。10年間。修了後はBerufsfachschule(職業専門学校)や、Gymnasialeの上位クラスへ進む選択肢がある。
Hauptschule(ハウプトシューレ):職業訓練(Ausbildung)への準備を中心とした課程。9年間。
一部の州ではこれらを統合した「Gesamtschule(総合制学校)」があり、異なる学力の生徒が一緒に学ぶ。ベルリンやハンブルクではGesamtschuleが主流になってきている。
振り分けの問題点
10歳で3種類のルートに分かれることへの批判は強い。
研究者の間では「家庭の社会経済的背景が、教師の振り分け推薦に影響を与える」という指摘が繰り返されている。つまり、同じ学力であっても、裕福な家庭の子どもがギムナジウムを勧められやすいという傾向だ。
「機会の平等」と「早期の振り分け」は相性が悪い——これは欧州の教育研究者の間でも長く議論されてきたテーマだ。
近年の変化
州によって制度に違いがあり、ベルリン・ハンブルクなど都市部ではGesamtschuleが広がっている。Gymnasiumへの入学者数も増加傾向にあり、「全員ギムナジウムに行けばいい」という社会的圧力も生まれている。
また、Hauptschuleを修了してアウスビルドゥング(職業訓練)→資格取得→実務という経路でキャリアを積んだ人が、後にギムナジウム相当の資格を得て大学に進む「二の矢」ルートも存在する。「振り分けは最終決定ではない」という方向に制度が動いている。
在住家庭にとって
駐在員・在住者の子どもが現地の学校に入る場合、ドイツ語力の問題から最初はGesamtschuleや、インターナショナルスクールを選ぶケースが多い。ギムナジウムはドイツ語力が高い水準で要求されるため、渡独直後の入学は現実的に難しい場合がある。
子どもの年齢・ドイツ語レベル・滞在期間を考慮した上で、学校選びを進めるのが現実的だ。