統合コース(Integrationskurs)——外国人のドイツ語義務
ドイツに移住した外国人に課される統合コース(Integrationskurs)。600時間のドイツ語授業+100時間の社会教育で構成されるこの制度の仕組みと実態を解説する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。
ドイツに移住して永住権や市民権を目指す場合、避けて通れないのが「Integrationskurs(統合コース)」だ。一定の条件を満たす外国人には参加が義務付けられており、修了が永住権申請の要件になる。
日本人を含む非EU市民にとって、この制度を正確に理解することはドイツ定住計画の根幹になる。
統合コースの構成
統合コースは2つのパートで構成されている。
語学コース(Sprachkurs): 600時間 A1レベルから始まり、B1レベルの修了を目標とする。初心者向けの「一般コース」のほか、識字コース(読み書きから始める)、女性専用コース、青年向けコースなど、対象者に応じたプログラムがある。
社会教育コース(Orientierungskurs): 100時間 ドイツの民主主義・法律・歴史・文化・社会システムについて学ぶ。修了テスト「Leben in Deutschland(ドイツでの生活)」に合格する必要がある。
コース全体の修了後には、B1レベルのドイツ語試験「DTZ(Deutsch-Test für Zuwanderer)」を受験する。
誰が対象になるか
EU市民以外の新規入国者で、定住・長期滞在を目的とするビザ保有者が主な対象だ。具体的には、就労ビザ・家族呼び寄せビザ・難民認定者などが含まれる。
すでにドイツ語能力が十分(おおよそB1以上)である場合や、フルタイム就労や学業で参加が難しい場合は免除の申請ができる。ただし「免除された=永住権に問題ない」とは限らないため、移民局(Ausländerbehörde)に個別確認することが重要だ。
費用の現実
受講料は1時間あたり2.20EUR(約352円)が自己負担の基本額(2024年時点の政府助成後の額)。コース全体で最大2.20×700時間=1,540EUR(約24.6万円)かかる計算だが、就労状況や所得によっては全額免除になるケースもある。
期間は週5日フルタイムで通えば数ヶ月で終わるが、パートタイムで通う人は1年以上かかることも多い。
実態と課題
コースは連邦移民・難民局(BAMF)が認定した民間語学学校が各地で提供している。クラスメートは世界各国からの移民で、ロシア・トルコ・アラビア語圏・アフリカ各国・アジアなど多様だ。
授業の質はスクールによってばらつきがある。評判の良いスクールはすぐに埋まるため、早めの申し込みが重要だ。BAMFのウェブサイトからコース提供機関を検索できる。
B1は「使える」レベルではない
コース修了のB1は日常会話が成立する水準だが、職場での交渉・行政書類の読解・医療での詳細なやり取りには不十分な場面が多い。在住の日本人から聞く声でも「B1を取ったけど職場ではまだ苦労する」という話は多い。
統合コースは「スタートライン」に乗るための制度だ。永住を視野に入れるなら、コース後もドイツ語学習を継続する意思と計画が必要になる。