Kaigaijin
お金・年金

ドイツの年金制度——外国人の強制加入と帰国後に24ヶ月で取り戻せる方法

ドイツで働くと公的年金(Rentenversicherung)への加入が強制。掛け金率は収入の18.6%で労使折半。帰国時には24ヶ月分の支払いと2年の待機期間を経て脱退一時金(Beitragserstattung)の申請が可能。日独社会保障協定との関係も整理する。

2026-04-15
ドイツ年金Rentenversicherung脱退一時金社会保障協定Beitragserstattung

この記事の日本円換算は、1EUR≒165円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

ドイツで雇用契約を結んで働く場合、年金保険(Rentenversicherung)への加入は避けられない。日本の厚生年金と同様の強制加入制度で、給与から自動的に控除される。「ドイツに数年だけいるつもりだから関係ない」という感覚でいると、帰国時に取り戻せる金額や条件を見落としてしまう。

Rentenversicherung(公的年金)の強制加入

ドイツの法定年金保険は**Deutsche Rentenversicherung(DRV)**が管轄する。雇用者は勤務開始と同時に自動的に加入となり、個人が申請する必要はない。

2024年の掛け金率: 収入の18.6%(労使折半)

つまり従業員負担は9.3%、雇用主負担が9.3%。

例として月収€3,000の場合:

  • 従業員負担: €3,000 × 9.3% = €279/月
  • 雇用主負担: 同額(従業員の手取りには影響しない)

上限(Beitragsbemessungsgrenze)は2024年時点で西ドイツ地域は月€7,550(要確認)。この上限を超える収入部分には年金保険料がかからない。

自営業者(Freiberufler・Selbstständiger)は原則として任意加入となるが、特定の職種(芸術家、教師など)は強制加入の対象になる。

受給条件:最低45年分が目安

ドイツの法定年金の受給開始年齢は現在67歳(段階的に引き上げ中)。最低受給要件は**5年分(60ヶ月)**の加入期間だが、実際の給付額は加入年数と払込額に比例して計算される。

外国人労働者がドイツで数年間勤務して帰国した場合、「5年に満たない」ことが多く、その場合は老齢年金として受け取ることができない。

帰国時の選択肢:Beitragserstattung(脱退一時金)

EUおよびEEA域外の国籍者(日本人を含む)は、ドイツを離れる際に**Beitragserstattung(掛け金払い戻し)**を申請できる。

ただし申請には条件がある:

  1. ドイツ社会保障の受給資格がないこと(EUに在住しておらず、将来受給見込みがないこと)
  2. 最後のドイツ加入から2年間が経過していること(2年の待機期間が必要)
  3. 24ヶ月以上の払込がある場合: 2年が経過した時点で申請可能(要確認)

払い戻されるのは従業員負担分(9.3%)のみ。雇用主負担分(9.3%)は返還されない。

申請先はDeutsche Rentenversicherung(www.deutsche-rentenversicherung.de)。フォームをオンラインまたは郵送で提出する形式だ。

日独社会保障協定(2000年発効)

日本とドイツは2000年2月に社会保障協定を締結している。

主な効果:

1. 二重加入の回避

日本から一時的にドイツに派遣される場合(原則5年以内)、日本の年金制度への加入を継続し、ドイツのRentenversicherungへの加入を免除できる。雇用主を通じて日本年金機構から「適用証明書」を取得する必要がある。

2. 加入期間の通算

日独それぞれの加入期間を合算して、受給要件(ドイツ: 5年)を満たすかどうかを判定できる。ただし給付額はあくまで各国の実際の加入期間・払込額に基づいて計算される。

例として日本での厚生年金加入期間が20年、ドイツが4年の場合:通算で24年となりドイツの最低受給要件(5年)を満たすことになる。

手続きの実際

ドイツで勤務中にRentenversicherungの番号(Sozialversicherungsnummer)を受け取っているはずだ。これは給与明細やHausarztの登録等で使う番号で、日本のマイナンバーに相当する。

帰国後の手続きは日本からでも可能。DRVのウェブサイトから英語・ドイツ語で各種書類をダウンロードし、郵送で提出するのが基本だ。

ドイツでの勤務年数が短い場合(2〜5年程度)は、Beitragserstattungの対象になるかどうか、日独社会保障協定による通算が使えるかどうか、という2点を確認するのが帰国前の作業になる。


参考: Deutsche Rentenversicherung「Beitragserstattung」、Bundesministerium für Arbeit und Soziales「Sozialversicherung in Deutschland」、厚生労働省「日独社会保障協定」、Deutsche Rentenversicherung「Rentenversicherungsbeitrag 2024」

コメント

読み込み中...