ドイツのペットボトルを捨てると損をする仕組み
ドイツのプファント(Pfand)システムはペットボトル・缶にデポジットを課して回収率95%以上を実現した。お金が戻ってくるリサイクルの仕組みと在住者の日常を見る。
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ドイツのスーパーに入ると、入口近くに「LEERGUT(空き容器)」と書かれた機械がある。ここにペットボトルや缶を入れると、お金が戻ってくる。
これがプファント(Pfand)だ。「捨てると損、返すと得」という設計で、ペットボトルのリサイクル回収率を95%以上(ドイツ環境省データ)に押し上げた制度だ。
Pfandの仕組み
プファント対象の容器には購入時にデポジットが上乗せされている。
- ペットボトル(再利用可能なもの):€0.25(約42円)
- ペットボトル(使い捨て):€0.25
- ガラス瓶(多くは再利用):€0.08〜0.15(約13〜25円)
- 缶(ビール・炭酸飲料等):€0.25
スーパーのレジで購入する際はすでにデポジット込みの価格になっており、空き容器を返却機(Leergut-Automat)に入れると、そのデポジット分のレシートが出てきてレジで割引に使える。
実際の使い方
- スーパーの入口近くの返却機にボトル・缶を1本ずつ入れる
- 機械がバーコードを読み取り、対象品か確認する
- 対象外(Pfand対象外の外国製ボトルなど)は押し戻しされる
- 投入が終わったらボタンを押してレシートを受け取る
- レジで精算時にレシートを提示すると引いてもらえる(返金も可)
混んでいる時は列ができる。週末の午前中は待ち時間が出ることもある。
路上に落ちているボトルが拾われる理由
ドイツでは路上に捨てられたペットボトルや缶が、ほどなく誰かに拾われる。生活に困っている人がプファントを集めて現金化するからだ。
ゴミ箱の外に置かれたボトル、公園のベンチ近くに置かれたボトルは「拾ってください」のサインであることが多い。ホームレス状態の人や低収入の人がこれを集めて生活の足しにする。
この「Pfand左置き文化(Pfand stehen lassen)」は自然発生的な助け合いとして定着しており、社会的に認知されている。プファントを路上に放置するのではなく、拾いやすい場所に置く行動がドイツ社会に広まっている。
在住日本人との接点
ドイツに来たばかりの頃、「プファントって何?」と気づかずに捨てて損をするケースがある。逆に気づいてからは「お金が戻ってくる」という感覚でこまめに返却するようになる人がほとんどだ。
週に15〜20本のペットボトルを消費する家族なら、週に€4〜5(約668〜835円)がPfandとして戻ってくる計算になる。月で€16〜20(約2,672〜3,340円)はバカにならない。
日本にはPfandに相当する制度がなく、「ゴミを捨てるのにお金が戻ってくる」という発想が新鮮に感じられる。ドイツが環境政策で先行している一例として、在住者が体感しやすい制度だ。
Pfandの限界
全てのペットボトルがPfand対象なわけではない。フルーツジュースや牛乳のパック(テトラパック)はPfand対象外で、プラスチックごみとして分別処理する。対象かどうかはバーコードと容器に記載の「Pfand」マークで判断する。
外国から持ち込んだボトルはドイツのPfand対象ではないため、返却機で受け付けられないことが多い。旅行土産の飲み物を飲んだ後のボトルは通常ゴミに出すことになる。