大学都市の生活——ハイデルベルク・テュービンゲン
ドイツ南西部の大学都市、ハイデルベルクとテュービンゲン。どちらも中世の街並みと学術の伝統を持つ。在住日本人から見た両都市の生活感を比較します。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。
「ドイツの大学都市に住む」と言ったとき、頭に浮かびやすいのがハイデルベルクとテュービンゲンだ。どちらも中世の石畳と丘の上の古城を持ち、川(ハイデルベルクはネッカー川、テュービンゲンも同じ)が街を貫く。見た目は似ている。でも、住んでみると相当違う。
ハイデルベルク——観光業と研究が共存する街
ハイデルベルク大学(創立1386年)はドイツ最古の大学だ。学生数は約3万1,000人(ハイデルベルク大学公式)で、人口約16万人の街に対してかなりの比率を占める。
観光地としても有名で、旧市街とハイデルベルク城は年間300万人以上が訪れる。日本語ガイドツアーもある。この観光産業と研究機関が並立している点がハイデルベルクの特徴で、街には英語と複数言語が飛び交い、国際的な雰囲気がある。
在住日本人には製薬・化学分野の研究者が多い(BASFの拠点都市であるルートヴィヒスハーフェンが隣接している)。家賃はバーデン=ヴュルテンベルク州内では高めで、1LDK相当で900〜1,300EUR(14万4,000〜20万8,000円)/月程度。
テュービンゲン——純粋な学術都市
テュービンゲンは人口約9万人で、そのうち大学関係者が3万人弱を占める(テュービンゲン大学公式)。観光客がほとんどいない分、街全体が学生と研究者のためにある。
哲学的な雰囲気、哲学者の小道(Philosophenweg)こそハイデルベルクにあるが、テュービンゲンには「哲学が空気の中にある」と表現する在住者がいる。街の書店の質、カフェでの議論の密度、マルクトプラッツ(市場広場)に面した古い建物の趣——どれも観光業に媚びていない。
家賃はハイデルベルクよりやや安い。ただし、国際的な就職市場へのアクセスはハイデルベルクの方が有利で、研究職以外のキャリアを考えるならシュトゥットガルトへのアクセス(約1時間)が重要になる。
どちらに住むか
研究・留学が主目的なら、指導教員と研究環境で選ぶのが先決だ。その上で「週末に観光客の来ない静かな街で読書したい」ならテュービンゲン、「国際的な人的ネットワークを広げたい」ならハイデルベルクという選び方がある。
どちらも冬は寒く、初夏から秋にかけての川沿いの景色は日本人に「美しい」と感じさせる種類のものだ。