ドイツ人が夏休みに「山の小屋」を借りる理由——フェリエンヴォーヌングの文化
ドイツでは夏休みにホテルではなく別荘やアパートメント(Ferienwohnung)を長期間借りるスタイルが主流だ。家族でキッチン付きの宿に数週間泊まる文化と費用を解説する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
ドイツ人の夏休みの標準的なスタイルは「ホテルを転々とする旅」ではなく「一か所に長くいる滞在」だ。Ferienwohnung(フェリエンヴォーヌング、バケーションアパートメント)を1〜2週間借り、キッチンで料理しながら過ごす。
なぜホテルではなくアパートメントなのか。ドイツ人の「旅行はリラックスのため」という哲学が背景にある。
フェリエンヴォーヌングとは
Ferienwohnungは「休暇住居」の意味で、キッチン・リビング・寝室が揃った貸し別荘・コテージ・アパートメントのことだ。日本でいえばAirbnbの物件に近いが、ドイツでは伝統的に農家や別荘オーナーが物件を貸す形が長く続いてきた。
Airbnb、Booking.com、そしてドイツ発のフェリエンヴォーヌング専門サイト(FeWo-direkt等)で検索できる。
バイエルンとバルト海が2大人気エリア
ドイツ国内で人気の夏休みエリアは大きく2つある。
バイエルン地方(バイエルプン・アルプス周辺)のフェリエンヴォーヌングは山岳リゾート的な立地。ハイキング、湖水浴、自転車など。ノイシュヴァンシュタイン城周辺などの観光地へのアクセスも良い。
バルト海(Ostsee)・北海(Nordsee)沿岸エリアは「海辺の夏休み」。砂浜と白樺並木が続くリューゲン島などが人気。
1週間のフェリエンヴォーヌング費用は家族4人分でエリアや時期によって€800〜€2,000(約130,400円〜326,000円)程度が目安。ピーク時はさらに高い場合がある。
「毎年同じ場所に行く」文化
ドイツの多くの家族は毎年同じフェリエンヴォーヌングを予約する。顔なじみのオーナーがいて、お気に入りの散歩コースがあって、子どもの頃から知っている地元のパン屋がある——この反復が「夏の記憶」として積み重なっていく。
日本人の「旅行は新しい場所へ」という感覚とは少し異なる。「戻ること」に価値を置く傾向だ。
在独日本人の夏休み
在ドイツの日本人が夏休みをどう過ごすかは、在住年数と子どもの有無によって変わる。
子どもがいる家庭ではドイツのSchulferien(学校休暇)に合わせて旅行を計画する。ドイツの各州によって夏休みの時期が少しずつずれる(混雑を分散するためのローテーション制)。どの州に住んでいるかによって旅行の混雑具合が変わるのがドイツ独特の仕組みだ。
日本への一時帰国と欧州旅行を組み合わせる人も多い。フランクフルト・ミュンヘン・ベルリンからのフライトで日本への直行便があり、欧州内の格安フライトとの選択になる。