ドイツの確定申告(Einkommensteuererklärung)——外国人が知るべき申告手続きと還付の現実
ドイツは多くの場合確定申告(Steuererklärung)が義務または任意提出で可能。外国人就労者・フリーランサーが申告すべき理由・使えるツール・税務署(Finanzamt)とのやりとりを整理する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。
ドイツで会社員として働いている場合、給与から所得税(Lohnsteuer)が自動天引きされる。「申告しなくていい」と思っていると、本来受けられる還付金を取り逃すことになる。
確定申告(Steuererklärung)の基本
義務があるケース:
- フリーランサー(自営業者)
- 副業収入が年間410EUR以上ある
- 複数の雇用主から給与を受けている
- 特定の手当(失業給付等)を受けている
- 離婚・結婚等の年間中の状況変化がある
任意提出が有利なケース:
- 通勤費・在宅勤務費・職業費(Werbungskosten)が多い
- 医療費・寄付・保険料等の控除申請
- 年度途中に就職・退職した
- 配偶者が無収入または低収入
多くの会社員が任意申告して還付金を受け取っている。平均還付額は1,000EUR以上とも言われる。
申告書類
Elster(エルスター): 連邦税務局が提供する無料オンライン申告システム。ドイツ語のみだが、最も正式なルート。
WISO / Taxfix / SteuerGo: 日本の「freee」に相当するドイツの確定申告アプリ。英語対応のものもある。フォームを埋めていくだけで申告書が完成する。費用は20〜35EUR程度。
税理士(Steuerberater): 複雑なケース(フリーランス・投資所得等)は税理士に依頼。費用は200〜500EUR程度から。
申告の締め切り
通常期限: 翌年7月31日(2024年分なら2025年7月31日)
税理士経由: 延長申請で翌々年の2月28日まで延長可能
還付申告(任意提出): 4年以内に申告すれば還付金を受け取れる(2024年分なら2028年まで)
主な控除項目
Werbungskosten(業務関連費用):
- 通勤費: 自宅〜職場の距離 × 0.30EUR × 勤務日数(片道)
- 在宅勤務(Homeoffice): 1日6EUR × 最大210日 = 1,260EUR(2023年以降の上限)
- 仕事用品(PC・文具等)
- 語学学習費(仕事に直接関係する場合)
Sonderausgaben(特別支出):
- 年金保険料(社会保険料)
- 生命保険・医療保険の一部
- 寄付金(認定団体向け)
外国人でも居住地ベースでこれらの控除が適用される。
日本との税務関係
ドイツに183日以上居住すると、原則としてドイツに税務上の居住地が移る。
日独租税条約: 日本とドイツ間で二重課税防止条約が締結されている。両国で同一所得に課税される場合は外国税額控除が適用できる。
日本の証券口座の配当・売却益も申告対象になる場合があり、ドイツ在住中に日本での運用所得が発生している場合は個別に税理士に確認することを推奨する。