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ドイツのWG(シェアアパート)文化——30代でもルームシェアが普通の理由

ドイツのWG(Wohngemeinschaft)文化を在住日本人向けに解説。30代・40代でもルームシェアが一般的な背景と、WGの探し方・相場・生活実態。

2026-05-02
WGシェアアパート住居

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

ベルリンでWG(ヴェーゲー)を探すと、「WG-Casting」なるものに遭遇する。部屋を内見するのではなく、既存の住人たちに「面接」されるのだ。料理の好み、音楽の趣味、政治的スタンス——ルームメイトとしての相性を確かめる場で、部屋の状態より人間性が問われる。ドイツでは住まいが見つかる前に、まず「人として選ばれる」必要がある。

WGとは

WG(Wohngemeinschaft)は直訳すると「住居共同体」。2人以上が1つのアパートを共有し、リビング・キッチン・バスルームを共用する暮らし方だ。各自の個室(Zimmer)はあるが、それ以外は共有空間になる。

日本のシェアハウスと似ているが、大きな違いがある。ドイツのWGは「専用のシェアハウス物件」ではなく、通常の賃貸アパートを住人同士で分割して住む形が主流だ。賃貸契約の名義人(Hauptmieter)がいて、他の住人はサブテナント(Untermieter)として入居する。

なぜ30代でもWGに住むのか

日本では「シェアハウスは20代のもの」という感覚が強いが、ドイツでは30代・40代のWG居住者も珍しくない。背景にあるのは住宅市場の構造的な問題だ。

ベルリンの1人暮らし向けアパート(1Zimmer、30〜40㎡)の家賃相場は月€700〜€1,200(約112,000〜192,000円)。これに対しWGの1部屋(15〜20㎡)は€400〜€700(約64,000〜112,000円)。共用スペースを含めた実質的な生活面積はWGの方が広くなる場合が多い。

さらに、ドイツの大都市では空室率が極端に低い。ベルリンの空室率は約0.5%、ミュンヘンは約0.2%(2023年時点)。1人で物件を探すより、既存のWGに空き部屋ができたタイミングで入る方が圧倒的に見つかりやすい。

経済的な理由だけではない。ドイツ人の間では「1人暮らしは寂しい」という感覚が日本よりも強い。特にベルリンやライプツィヒでは、WGを「ライフスタイルの選択」として積極的に選ぶ人が多い。

WGの種類

一口にWGと言っても形態はさまざまだ。コスト分担だけが目的のZweck-WG(目的型)、一緒に料理・食事を楽しむGemeinschafts-WG(コミュニティ型)、社会人限定のBerufstätigen-WG、学生向けのStudenten-WG。60代以上の高齢者が介護費用削減と孤立防止のためにシェアするSenioren-WGまである。WG-Castingでは、自分がどのタイプを探しているか明確にしておくとミスマッチが減る。

WGの探し方

最も使われるプラットフォームは以下の通り。

  • WG-Gesucht.de:ドイツ最大のWG検索サイト。無料だが、プレミアム会員(月€9.99)にならないとメッセージが後回しにされる
  • Immobilienscout24:通常の賃貸物件と並んでWG-Zimmer(シェア部屋)も掲載
  • eBay Kleinanzeigen(Kleinanzeigen.de):地元密着の掲示板。個人間の取引が多い
  • Facebook グループ:「WG Berlin」等の地域別グループ。速報性が高い

WG-Gesuchtでは、人気エリアの部屋1つに対して100〜200件の応募が集まることもある。応募メッセージは定型文ではなく、自己紹介を丁寧に書いた方が返信率が上がる。「日本から来た」という情報はプラスに働くことが多い——清潔・静か・礼儀正しいというイメージがドイツでは根強い。

WGの費用構造

WGの家賃は通常「Warmmiete(暖房費・管理費込み)」で€400〜€700/月。インターネット€10〜€15、Rundfunkbeitrag(放送受信料)€6〜€9、生活消耗品€5〜€10が人数割りで上乗せされる。電気代はWG全体で1つの契約になっていることが多く、年末に精算して差額を分担する形だ。

在住日本人がWGで暮らすコツ

最初のカルチャーショックは「キッチンの使い方」かもしれない。ドイツのWGでは共用キッチンのルールが細かく決められていることが多い。自分のスペース、共有の調味料、掃除当番制——入居時にルールを確認しておくとトラブルを防げる。

もう一つは「Kaution(敷金)」の扱い。WGに入る際、前の住人に敷金を直接支払うケースがある。退去時に返金されるが、口頭の約束だけだとトラブルになりやすい。金額と返金条件を書面にしておくのが安全だ。

WGは住居費を抑えるだけでなく、ドイツ語の練習相手が常にいるという副次効果がある。渡独直後でまだ知り合いが少ない時期には、WGが最初のコミュニティになる。

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