Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
住まい

ドイツの部屋の明け渡しは「ゼロに戻す」作業——退去時の原状回復義務の現実

ドイツの賃貸退去時にはSchönheitsreparaturen(美観修繕)と呼ばれる壁の塗り直し等の義務をめぐる慣行がある。退去前の清掃・修繕の範囲と在独日本人が抑えるべきポイントを解説する。

2026-07-07
賃貸退去生活実用

この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

ドイツの賃貸を退去するとき、多くの人は「壁を塗り直す」作業が待っていることを覚悟する。家主が壁の再塗装をテナントに求めることが、長年の慣行として続いてきた。

ただし近年の判例ではこの義務を制限する方向に動いており、契約書の文言次第で実際の義務範囲が大きく変わる。「当然だと思っていたけど義務ではなかった」というケースもある。

Schönheitsreparaturenとは

Schönheitsreparaturen(シェーンハイツレパラトゥーレン、美観修繕)は、入居期間中の通常使用による壁・天井・ドア等の汚れや小傷を修繕することを指す。

以前は「5〜10年居住後に退去する場合は壁を塗り直す」といった条項が標準的な賃貸契約に含まれていた。しかしドイツ連邦裁判所(BGH)の一連の判決で、画一的な修繕義務条項を設ける契約条項は無効と判断されるケースが増えた。

結果として「契約書に何が書いてあるか」が極めて重要になった。

退去時の実務

契約内容に関わらず、退去時には徹底的な清掃(Endreinigung)が求められることが多い。

キッチン(レンジ・オーブンの清掃が特に厳しくチェックされる)、バスルーム、フローリング、窓——これらを入居時と同等の清潔さに戻すことが基本だ。

専門の清掃業者に依頼する人も多く、費用は部屋の広さによって異なるが2LDK程度で€200〜€400(約32,600円〜65,200円)程度が目安とされることがある(業者・地域によって差がある)。

入居時のWohnungsübergabeProtokoll

退去と同様に、入居時の「Wohnungsübergabeprotokoll(住居引き渡し議事録)」が重要だ。

入居時にすでにある傷・汚れ・欠陥をすべて写真に撮り、書面に記録して家主と署名する。これをしておかないと「退去時に最初からあった傷を自分がつけた」と判断される可能性がある。

在独日本人の間では「入居時の記録が甘くて退去時にトラブルになった」というケースが共有されることがある。入居直後の議事録作成は最優先で行うべき作業だ。

デポジット(Kaution)の返還

ドイツの賃貸ではデポジット(Kaution)として最大3ヶ月分の家賃を預けることが法律で認められている。

退去後、家主は通常3〜6ヶ月以内にデポジットを返還する(清掃・修繕費の精算後)。返還が遅れた場合や不当な控除があった場合は、借主は法的に返還を請求できる。Rechtsschutzversicherung(法的保護保険)があると、このような場面で弁護士費用がカバーされる。

コメント

読み込み中...