Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
お金・税金

スペインでフリーランスになると毎月4万円取られる——Autónomoの社会保険料の罠

スペインのフリーランス(Autónomo)に課される社会保険料は、収入に関係なく毎月発生する。2023年の制度改革後の新しい仕組みと負担の実態。

2026-05-15
フリーランスAutónomo社会保険税金働き方

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

スペインでフリーランスとして働く場合、Autónomo(アウトノモ)として社会保障に加入する必要がある。この社会保険料が、日本のフリーランスの感覚からすると驚くほど重い。

2023年の制度改革

2022年まで、Autónomoの社会保険料は実収入に関係なく、自分で申告した「基礎額」に基づいて計算されていた。大多数のフリーランスが最低基礎額を選び、月額約293EUR(約46,880円)を支払っていた。稼いでいてもいなくても、この金額が毎月引き落とされる。

2023年1月から、実所得に応じた15段階の保険料に改革された。

月間純所得月額保険料(2026年段階的引き上げ後の目安)
〜670EUR約230EUR(約36,800円)
670〜900EUR約260EUR(約41,600円)
900〜1,166EUR約275EUR(約44,000円)
1,166〜1,500EUR約291EUR(約46,560円)
1,500〜1,700EUR約294EUR(約47,040円)
1,700〜2,030EUR約310EUR(約49,600円)
3,190EUR〜約390EUR以上(約62,400円以上)

低所得者の負担が若干軽減された一方で、高所得者の負担は増加した。

保険料に含まれるもの

この保険料は「税金」ではなく「社会保険料」だ。含まれているのは:

  • 公的医療保険: 公立病院の診察・入院が無料
  • 年金(Jubilación): 将来の老齢年金の原資
  • 失業保険(Cese de Actividad): 廃業時の一時金
  • 傷病手当: 病気やケガで働けない期間の所得補償

日本の国民健康保険+国民年金+雇用保険をまとめたものと考えればいい。ただし、金額は日本より高い。

所得税は別

社会保険料とは別に、所得税(IRPF)がかかる。スペインの所得税は累進課税で:

課税所得税率
〜12,450EUR19%
12,450〜20,200EUR24%
20,200〜35,200EUR30%
35,200〜60,000EUR37%
60,000EUR〜45%〜47%(自治州による)

社会保険料+所得税+IVA(付加価値税21%)を合わせると、フリーランスの手取りは額面の50〜60%程度になることが多い。

新規Autónomoの優遇措置

新たにAutónomoとして登録する場合、最初の12ヶ月は月額80EUR(約12,800円)の減額保険料が適用される(Tarifa Plana)。その後12ヶ月間はさらに段階的に増額され、25ヶ月目から通常額になる。

この制度を利用して「まず1年間試してみる」フリーランスも多い。

デジタルノマドビザとの関係

2023年にスペインが導入したデジタルノマドビザ(Visado para Teletrabajo de Carácter Internacional)でも、スペインに居住する場合はAutónomoとしての社会保険料が発生する。リモートで海外の企業から収入を得ていても、スペインの税務居住者になれば逃れられない。

在住フリーランスの声

「売上がゼロの月でも保険料は発生する」——これがAutónomoの最大のプレッシャーだ。案件がなくてもコストは毎月固定で出ていく。

一方で、病気になった時の公的医療、将来の年金、廃業時のセーフティネット——日本のフリーランスにはない手厚い保障を受けられる面もある。

スペインでフリーランスをやるなら、社会保険料を「コスト」ではなく「保障の購入」と捉え直す必要がある。その保障が自分に必要かどうかが、スペインでフリーランスをやるかどうかの判断基準になる。

コメント

読み込み中...