スペインの公的医療の待ち時間——専門医まで数ヶ月の現実
スペインの公的医療(SNS)は原則無料だが、専門医の予約まで数週間〜数ヶ月待つのが現実だ。在住外国人が知っておくべき公的医療の仕組みと民間保険との使い分けを整理する。
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スペインに住んで最初に風邪をひいた時、公的医療センター(セントロ・デ・サルード)に電話した在住外国人が「一般科の予約は2週間後」と言われて驚く、という話はよく聞く。日本の感覚だと即日診察が当たり前だが、スペインの公的医療は構造が異なる。
スペインの公的医療制度(SNS)の仕組み
スペインのSistema Nacional de Salud(SNS)は、居住登録(パドロン)と社会保険の加入を条件に、ほぼ無料で医療が受けられる制度だ。EU市民は社会保険カード(タルヘタ・サニタリア)で適用される。非EU市民(日本人含む)は就労者として社会保険に加入するか、有料の特別申請で加入できる。
医療は「一般科(メディコ・デ・カベセラ)→専門科(エスペシャリスタ)」という紹介制で進む。専門医に直接行くことは原則できない。
待ち時間の現実
スペイン保健省の2023年データでは、専門科への紹介後の待機日数(mediana)は以下の通り:
- 外科系:約60〜90日
- 消化器科:約40〜60日
- 眼科:約30〜50日
- 緊急対応(急患):当日
地域差が大きく、マドリード・バスク地方は比較的待ち時間が短く、アンダルシア・ムルシア等の南部は長い傾向がある。
民間医療保険(セグーロ・サニタリオ)との使い分け
在住外国人の中には、公的医療と民間保険を併用する人が多い。主要な民間保険会社:
- Sanitas:英国ビュパグループ傘下。英語対応可能
- Adeslas:スペイン最大クラスの民間保険
- Asisa
個人加入の場合、月€60〜120(約9,600〜19,200円)程度が相場。民間保険なら専門医を直接指名でき、待ち時間は数日〜1週間程度に短縮される。
日本人の視点からの整理
日本のように「今日具合が悪い→今日病院に行く」という動き方は、スペインの公的医療では基本的に難しい(緊急を除く)。軽い症状・慢性疾患の管理には公的医療、急いで診たい場合や専門医へのアクセスには民間保険、という使い分けが在住外国人の間で広まっている現実的な答えだ。