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マドリードの家賃高騰:在住外国人が押し上げているのか、それとも別の話か

マドリードの賃貸市場は2020年代に急騰した。外国人流入・短期賃貸規制・住宅供給不足が複雑に絡む構造を整理し、現実的な家探しの考え方を示す。

2026-06-15
家賃マドリード住宅市場移住生活コスト

この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

「マドリードは5年前の2倍の家賃だ」と言うスペイン人の話は誇張ではない。マドリードの中心部では2ベッドルームのアパートが月1,800〜2,500EUR以上になるエリアもある(推定)。これは多くのスペイン人の月収(中間値で推定2,000EUR前後)に迫る水準だ。

何が家賃を上げたか

主因は複数ある。単純に外国人のせい、というわけではない。

住宅供給の停滞: 2008年の金融危機後、スペインの住宅開発は大幅に縮小した。その後の需要回復に供給が追いついていない。マドリードは法的規制(グリーンベルト的な開発制限)もあり、大規模な新規供給が難しい。

Airbnb化: 短期賃貸(ツーリスト・アパートメント)に転換した物件が長期賃貸市場から消えた。マドリード市は短期賃貸規制を強化しているが、既存の認可物件は当面存続する。

外国人の高支払い能力: ドバイ・ロンドン・ニューヨーク水準の収入を持つデジタルノマドやリモートワーカーが、スペインの「安い」家賃水準に来て高値をつける。地元の労働者と外国人リモートワーカーの賃金格差が家賃市場で衝突する。

マドリードの地区別相場感

一般的な相場(ワンルームまたは1ベッドルーム、推定):

  • ソル・グラン・ビア・チュエカ(中心部人気エリア): 月1,200〜1,800EUR
  • ラヴァピエス・エンバハドーレス(若者・多様な文化): 月900〜1,400EUR
  • バジェカス・カラバンチェル(外周区): 月700〜1,000EUR
  • シウダ・リネアル・オルタレサ(外周区): 月700〜900EUR

市内中心部から少し離れるだけでコストが大幅に変わる。メトロで中心部まで20〜30分の外周区でも生活の利便性は十分あることが多い。

スペイン人若者の「住宅危機」

家賃高騰はスペイン人の若者世代に直撃している。「親と同居を続けるか、シェアハウスで友人と住むか」という選択を迫られる20〜30代が多い。スペインの平均初婚年齢・独立年齢は欧州の中でも高い方で(推定)、経済的な理由が背景にある。

日本人の場合

日本人がマドリードで家を探す際、最大の障壁になるのは「保証人(アバル)」の問題だ。スペインのオーナーは通常、スペインの社会保障番号・収入証明・保証人を要求する。外国人で就労しておらず、スペインでの信用実績がない場合は、保証代行サービス(デポジットを多めに積む代替手段)を使うか、外国人向けのシェアハウスサービスを最初の拠点にすることが現実的だ。

高い家賃は「マドリードが選ばれている」証でもあるが、それが市民の住居アクセスを削っているなら持続可能ではない。この矛盾をどう解くか、スペインでも政治的議論が続いている。

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