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マラガがスペインのシリコンバレーになりつつある——テックハブ化する地中海都市

Google、Vodafone、TDKが拠点を構え、テック系雇用が急増するマラガ。ピカソの故郷がなぜIT都市に変貌したのか、在住外国人の視点から解説する。

2026-05-09
ビジネステックマラガ移住リモートワーク

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

マラガのテック産業の雇用者数は2019年から2024年の5年間で約2倍に増えた。Googleが2023年にサイバーセキュリティセンターを開設し、Vodafoneの欧州R&Dハブ、TDKのイノベーションセンターが続いた。人口約58万人のこの地中海都市に、いま欧州中からエンジニアが集まっている。

なぜマラガだったのか

答えはシンプルで、「バルセロナやマドリードより安くて、天気がいい」からだ。マラガの年間晴天日数は約300日。テック人材のリクルーティングにおいて、気候は無視できない競争力になる。

生活コストも差がある。マラガ市内のワンルームの平均家賃は€700〜900(約11.2万〜14.4万円)で、バルセロナの€1,000〜1,300と比べると3割ほど安い。レストランでの昼食メニュー(menú del día)も€10〜13(約1,600〜2,080円)と、大都市より明らかに手頃だ。

Málaga TechParkとPTA

テック企業の集積地は「Parque Tecnológico de Andalucía(PTA)」。1992年設立で、現在は630社以上が入居し約2万人が働いている。もともとはスペインのテレコム企業が中心だったが、2020年代に入ってから国際企業の進出が加速した。

マラガ大学(Universidad de Málaga)がPTAに隣接しており、コンピュータサイエンスの卒業生がそのまま地元企業に就職する流れができている。

リモートワーカーの街としての進化

デジタルノマドビザ(Ley de Startups、2023年施行)の導入以降、マラガにはEU外からのリモートワーカーも増えている。コワーキングスペースは市内中心部だけで20カ所以上。La Térmica、The Living Room、Soho Workなどが在住外国人に利用されている。

海沿いのMalagueta地区を歩くと、ノートPCを開いたままテラスでコーヒーを飲んでいる人が目につく。バルセロナほど観光客が多くなく、マドリードほど内陸的でもない。その「ちょうど良さ」がマラガの強みになっている。

課題もある

テック企業の進出に伴い、家賃は2019年比で約40%上昇した。地元のマラゲーニョ(マラガっ子)からは「自分たちの街が外国人のために高くなっている」という声も出ている。バルセロナやリスボンが経験した「テック・ジェントリフィケーション」の初期段階と見ることもできる。

それでも、地中海の気候・バルセロナより安い生活費・成長中のテックエコシステムという三拍子は、スペインでIT系のキャリアを考える外国人にとって検討に値する選択肢だ。

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