Non-Lucrative Visa——収入源がある退職者・資産家向けのスペイン在住ビザ
スペインのNon-Lucrative Visa(非営利ビザ)の条件・必要書類・申請方法を解説。退職後の移住やリモートワーカーに人気のビザの現実と注意点。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。
スペインに1年以上住みたいが、スペインで働く予定はない——そういう人向けに存在するのがNon-Lucrative Visa(非営利ビザ、Visado de Residencia No Lucrativa)だ。年金受給者、不動産収入がある人、投資家、退職後の移住者が主な取得層で、近年は日本人の関心も高まっている。
主な取得条件
最大のハードルは毎月の収入・資産の証明だ。スペイン政府が定める最低生活費(IPREM)の400%以上の月収が求められる。2024〜2025年時点の目安では、申請者本人に月約2,400EUR(約38万4,000円)以上の安定収入が必要で、同伴する家族が増えると加算される。
- 本人: 約2,400EUR/月以上
- 同伴配偶者: 約600EUR/月分追加
- 子ども1人あたり: 約600EUR/月分追加
銀行口座の残高証明でもある程度代替できるが、「継続的な収入」を証明する方が審査は通りやすい。
必要書類
- パスポートのコピー
- 申請書(EX-01フォーム)
- 無犯罪証明書(日本で取得。外務省経由で公証・アポスティーユが必要)
- 健康診断書(スペインの要件に合わせた医師の証明)
- 民間医療保険(スペイン公的医療を利用しないことが条件のため必須)
- 財力の証明書類(銀行残高証明・年金証書・賃貸収入証明など)
- 宿泊先の証明
書類の多くはアポスティーユ(国際的な公証)が必要で、準備に2〜3ヶ月かかることがある。
申請場所と流れ
日本のスペイン大使館・総領事館で申請する。初回ビザ(1年)を取得後、スペイン入国・居住許可証(TIE)を取得し、2年ごとに更新できる。5年居住後は長期居住許可(Residencia de Larga Duración)の申請資格が生まれ、10年後は市民権の取得対象になる。
重要な注意点
Non-Lucrative VisaはスペインでのAutónomo登録・就労を禁じている。スペイン国内での収入発生は、このビザの条件違反になる。リモートワークで海外(日本)の会社から給与を得ることについては解釈が分かれる部分があり、2023年に導入されたデジタルノマドビザとの使い分けを検討する価値がある。
民間医療保険の加入が義務で、公的医療は使えない点も費用として見込んでおきたい。スペイン在住者向けの医療保険は年間1,500〜3,000EUR(24万〜48万円)が目安だ。
退職移住・セカンドライフとしてスペインを選ぶ日本人にとっては有力な選択肢の一つだが、書類準備の複雑さと財力要件がネックになることが多い。行政書士や現地の代理人に依頼することで手続きをスムーズにする選択肢もある。