スペインの夏の昼、40度を超えても人が動く理由
スペイン南部の夏は気温40度を超える日が続く。熱波の中での都市生活・農業・建設の実態と、気候変動で変わりつつある夏の過ごし方を考える。
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セビリアの7月の最高気温は連日40度を超える。コルドバはさらに上で、45度に達する日もある。「暑い」というレベルではなく、外に出ると体が焼けるような感覚がある。
にもかかわらず、建設作業員は朝6時から作業を始めるし、農業労働者は早朝から畑に出る。太陽が高くなる12時〜17時を避ける知恵が、スペインの労働スケジュールに刻み込まれている。
シエスタの本来の意味
シエスタが「昼寝の習慣」として語られることが多いが、南部の夏においては単なる文化的慣習ではなく、熱中症対策の合理的な生存戦略だった。農業社会では、昼の熱の中で作業を続けることが命に関わる問題だった。
現代の都市部ではエアコンの普及でシエスタの必要性は変わっているが、スペインの昼食の時間が13〜15時、夕食が21〜23時という遅い時間帯は、この農業社会の名残として残っている。
熱波(オラ・デ・カロール)と死者
気候変動でスペインの熱波は強度と頻度が増している。2022年の熱波ではスペインで数千人の超過死亡が記録されたと報告されている(推定・複数の研究機関による集計)。高齢者・一人暮らしの人・エアコンのない住居の人が特に影響を受けやすい。
スペイン政府はここ数年、熱波の早期警戒システムを整備し、学校や公共施設を「クーリングセンター」として開放する取り組みを進めている。
エアコンの普及格差
北部(バスク州・カンタブリアなど)と南部(アンダルシア・エクストレマドゥーラ)ではエアコンの普及率に差がある。北部は夏が比較的涼しいため、エアコンなしでも過ごせる家が多い。一方、南部の新築住宅にはエアコンが標準装備されるようになってきたが、古いアパートには依然としてない場合がある。
内見時に「冷暖房(クリマティサシオン)があるか」を確認するのは、南部に住む場合の必須事項だ。
水不足との複合問題
熱波は水不足とセットで来る。2023〜2024年のスペインは干ばつが深刻で、一部の自治体では水の使用制限が出た。アンダルシア地方の農業用水も規制の対象になり、生産量に影響が出た。
屋外プールの使用制限、庭への散水禁止、車の洗車禁止——これらが夏の生活制限として現れる。
避暑地の文化
マドリードやセビリアの住人は8月に都市から逃げ出す。コスタ・デル・ソルのビーチリゾート、北部のサン・セバスティアン周辺、ガリシアの涼しい海岸——これらが避暑地として機能している。
「マドリードの8月はゴーストタウン」という言葉があるほど、夏の都市中心部は閑散とする。バルやレストランも一斉に休業するため、残った人は選択肢が少ない。在住者としては、この時期に旅行の計画を立てるか、灼熱の都市に残るかの判断になる。
日本の夏も暑くなっているが、スペイン南部の夏はそれを上回る。体が慣れるまでに1〜2年かかると言う在住者もいる。