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スペインの水道水は飲めるが、誰も飲まない——地域で全く違う水質事情

スペインの水道水はEU基準を満たし安全だが、ミネラルウォーターを買う人が大半。バルセロナとマドリードで水の味が全く違う理由。

2026-05-25
水道飲料水生活健康

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バルセロナのレストランで「水をください」と頼むと、「agua del grifo(水道水)それとも agua mineral(ミネラルウォーター)?」と聞かれる。マドリードでは水道水がそのまま出てくることが多い。

この違いは好みではなく、水質の差による。マドリードの水道水はグアダラマ山脈の雪解け水が水源で、軟水に近く味がいい。マドリード市民は自分たちの水道水に誇りを持っている。一方、バルセロナの水道水はリョブレガート川の水が主な水源で、硬度が高くカルキ臭も強い。

数字で見る水質の差

水の硬度を比較すると、マドリードは約40〜80mg/L(軟水)、バルセロナは約300〜500mg/L(硬水)だ。東京の水道水が約60mg/Lなので、マドリードは東京とほぼ同じ、バルセロナは東京の5〜8倍の硬度がある。

硬度が高いと石鹸が泡立ちにくく、ケトルや水回りに白い水垢が付きやすい。バルセロナでは浄水器(filtro de agua)を使う家庭が多く、Brita等の浄水ポットが普及している。

南部はもっと厳しい

アンダルシアや地中海沿岸の南部は、水資源そのものが不足している。干ばつの年には取水制限がかかり、水道水の水質も低下する。マラガやアリカンテでは、ほぼ全員がミネラルウォーターを購入している。

スーパーで8リットル入りのミネラルウォーターがEUR 1〜2(約160〜320円)で売られている。在住者は週に1〜2本を買い置きするのが一般的だ。

レストランでの水

スペインのレストランでは、水道水(agua del grifo)を頼むことは法律上の権利として認められている。2022年の法律改正で、飲食店は無料の水道水を提供する義務を負うことになった。

ただし、実際にはミネラルウォーターを勧められることが多い。EUR 1.50〜3(約240〜480円)のボトルウォーターは、レストランにとって利益率の高い商品だからだ。「agua del grifo, por favor」と明確に言えば、無料で出してもらえる。

水道水の質は、その都市のインフラ投資の歴史を映す鏡だ。マドリードの水が美味いのは偶然ではなく、19世紀のカナル・デ・イサベルII(水道公社)の建設に遡る長期投資の結果だ。引っ越し先の水質を事前に調べておくのは、スペインでは実用的な知恵になる。

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