22時に夕食を食べても太らないのか——スペインの遅い食事と代謝の科学
スペインの夕食は21〜22時が標準。日本の栄養学では「遅い食事は太る」とされるが、スペインの肥満率は日本より高いものの欧州では低い方。何が起きているのか。
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スペインに住み始めて最初に衝突するのが食事の時間だ。昼食は14時〜15時、夕食は21時〜22時。日本の感覚では夕食の時間にはもう寝ている。
「遅い時間に食べると太る」というのは日本の健康常識だが、スペインの成人肥満率は約16%で、EU平均(約17%)より低い。イギリス(約28%)やドイツ(約19%)と比べても低い。夜22時に食べているのに、なぜだろうか。
地中海式の食事パターン
スペイン人の食事は、実は「遅い夕食1回」ではなく「1日5回の分散型」だ。
| 時間 | 食事 | 内容 |
|---|---|---|
| 7:30〜8:30 | 朝食(desayuno) | トースト+コーヒー |
| 11:00頃 | 午前の軽食(almuerzo) | ボカディージョ(サンドイッチ) |
| 14:00〜15:00 | 昼食(comida) | 1日のメイン。前菜+主菜+デザート |
| 18:00〜19:00 | おやつ(merienda) | フルーツ、ヨーグルト、菓子パン |
| 21:00〜22:00 | 夕食(cena) | 軽め。サラダ、スープ、オムレツ等 |
重要なのは、夕食が1日で最も軽い食事だということ。日本の「がっつり夕飯」とは真逆の構造だ。1日のカロリーの約40%を昼食で摂り、夕食は20%程度。
科学的には
バルセロナ大学の研究チームは、食事のタイミングよりも「1日の総カロリー摂取量」と「食事の構成」が体重に与える影響が大きいと報告している。オリーブオイル、魚、野菜、豆類を中心とする地中海式食事は、同カロリーの北欧型食事(バター、肉、乳製品中心)より代謝に良い影響を与えるとされている。
ただし、近年はスペインでも若年層の食事の欧米化(ファストフード、加工食品の増加)が進んでおり、子供の肥満率はEUで最も高い部類に入る。
在住者としての適応
来たばかりの頃は、22時の夕食の後にすぐ寝るのに罪悪感がある。しかし実際には夕食後に散歩(paseo)に出る習慣がスペインにはあり、食後30分〜1時間のウォーキングが消化を助けている。
スペインの食事時間に適応するコツは、夕食を軽くすること。日本式の「夕食がメイン」を続けると胃がもたれる。昼食をしっかり食べ、夕食はサラダとオムレツ程度にする——そのリズムに入れば、22時の食事は意外と快適だ。