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スペインでは誕生日より「聖人の日」を祝う——Santo文化と名前の意味

スペインには誕生日とは別に「聖人の日(Santo)」を祝う文化がある。カトリックの聖人暦に基づく名前の文化と、在住日本人が知っておくべきマナーを解説。

2026-05-22
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スペインで「¡Felicidades!(おめでとう!)」と言われる日が年に2回ある。誕生日と、Santo(サント、聖人の日)。日本人にとって誕生日祝いは馴染みがあるが、Santoは初めて聞く概念かもしれない。

カトリックの聖人暦(Santoral)では、365日それぞれに聖人が割り当てられている。自分の名前と同じ聖人の日が「自分のSanto」になる。たとえばJosé(ホセ)なら3月19日の聖ヨセフの日、María(マリア)なら9月12日のMaestra Maríaの日がSantoだ。

Santoの祝い方

かつてはSantoの方が誕生日より盛大に祝われていた。今は世代によって異なるが、50代以上のスペイン人は「Santoおめでとう」のメッセージを贈り合う習慣がある。

職場で同僚がSantoの日にケーキやお菓子を持ってくることもある。誕生日と同じく、当事者がケーキを振る舞うのがスペインの慣習だ。日本では祝われる側が受け取るが、スペインでは祝われる側が配る。この反転を知らないと、自分のSantoに何も持っていかず気まずい思いをすることがある。

名前と聖人の関係

スペインの名前は聖人暦に由来するものが多い。Antonio、Francisco、Carmen、Pilar——いずれもカトリックの聖人または聖母に由来する。

かつては出生日の聖人の名前を子どもにつける習慣があった。10月12日に生まれた女の子は「Pilar(聖母ピラール)」と名付けられるような具合だ。現代ではこの慣習は薄れているが、名前の選択に聖人暦が影響することは今でもある。

在住日本人として

日本人の名前にはSantoが存在しない。だがスペイン人は外国人の名前に対しても「一番近い聖人」を当てはめようとすることがある。「Yuki」なら「Luquía(聖ルキア、12月13日)に近いかも」という具合に——半分冗談で。

スペイン人の同僚や友人のSantoの日をカレンダーに登録しておくと、関係が良くなる。「Felicidades por tu Santo」(聖人の日おめでとう)とメッセージを送るだけで十分だ。誕生日は覚えられなくても、名前がわかればSantoの日は調べられる。

名前が社会的な紐帯になっている文化は珍しくない。だがカトリックの聖人暦を通じて、名前に「カレンダー上の居場所」を与えるスペインの仕組みは独特だ。名前が日付を持ち、日付が祝いの理由になる。

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