スペインの住民はAirbnbに怒っている——観光用アパート規制と家賃高騰の構造
バルセロナやマドリードで観光用短期賃貸(piso turistico)への規制が強化されている。住民の家賃高騰と観光経済のジレンマを解説。
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バルセロナ市は2028年末までに、市内の観光用短期賃貸アパート(piso turistico)のライセンス約10,000件を全廃すると発表した。既存ライセンスの更新を停止し、段階的にゼロにする方針だ。
背景にあるのは家賃の高騰だ。バルセロナの平均家賃はこの10年で約70%上昇し、中心部の2LDKでEUR 1,200〜1,800/月(約192,000〜288,000円)に達している。住民は「自分たちが住む家が観光客に奪われている」と感じている。
何が起きているのか
物件のオーナーにとって、長期賃貸より短期の観光客向け賃貸のほうが利回りが高い。バルセロナの中心部では、Airbnbの1泊料金がEUR 100〜200(約16,000〜32,000円)。月に20泊稼働すれば、長期賃貸の2〜3倍の収入になる。
結果として、賃貸市場から物件が消える。住民向けの長期賃貸物件が減り、残った物件の家賃が上がる。バルセロナのゴシック地区やボルン地区では、地元住民がほぼいなくなったエリアもある。
規制の現状
バルセロナだけでなく、マドリード、マラガ、セビリア、パルマ・デ・マヨルカなど、スペインの主要都市で観光用賃貸の規制が進んでいる。ライセンスなしの短期賃貸には高額の罰金が科され、バルセロナではEUR 60,000以上の罰金事例がある。
在住者として長期賃貸を探す場合、この規制は追い風だ。ただし、規制の効果が家賃に反映されるまでには時間がかかる。
外国人が巻き込まれるリスク
日本人駐在員や長期滞在者が注意すべきなのは、到着直後にAirbnbで滞在しながら物件を探すケースだ。利用すること自体は問題ないが、ライセンスのない違法物件に泊まると、トラブルに巻き込まれる可能性がある。予約時にライセンス番号(numero de registro)が掲載されていることを確認しておきたい。
また、自分が借りた物件を無断でAirbnbに出すのは、スペインではほぼ確実に契約違反になる。発覚すれば即座に退去を求められ、敷金も返還されない。
住む人と泊まる人の利害が真正面からぶつかる問題だ。スペインに住むということは、この対立の当事者側に立つということでもある。