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白い村は美しさのためではなく暑さのために白い——アンダルシアの石灰塗りの科学

スペイン南部の白い村(Pueblo Blanco)の壁が石灰で塗られている理由は、太陽光の反射で室温を下げるためだった。エアコンなしで40℃を乗り切る建築の知恵。

2026-05-28
白い村アンダルシア建築暑さ対策石灰

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アンダルシアの白い村——ロンダ、ミハス、フリヒリアナ。観光客はインスタグラム用の写真を撮るために訪れるが、あの白い壁は美しさのためではなく、生き延びるためのテクノロジーだった。

石灰(cal)で塗られた白い壁は、太陽光の最大80%を反射する。塗っていない石壁やレンガ壁の反射率は20〜40%だから、室内に入る熱量が半分以下になる。エアコンがなかった時代のアンダルシアで、夏の外気温45℃を室内30℃以下に抑える唯一の方法だった。

石灰のもう一つの機能

石灰は強アルカリ性で、殺菌効果がある。中世のペスト流行時にも石灰塗りが推奨されていた。虫の忌避効果もあり、壁に虫が巣を作りにくくなる。美観・断熱・殺菌・防虫——石灰塗りは多機能な仕上げ材だった。

アンダルシアの住民は、現在でも年に1〜2回、壁の石灰を塗り直す。春のセマナ・サンタ(聖週間)前に塗り直す家庭が多い。石灰のバケツ(cubo de cal)はフェレテリア(金物店)でEUR 5〜10(約800〜1,600円)で買えるし、塗装もブラシで塗るだけなので専門技術は不要だ。

白い壁が義務の自治体

ミハスやフリヒリアナなどの一部自治体では、景観条例で外壁を白に塗ることが義務づけられている。新築でも改築でも、壁の色は白でなければ許可が下りない。

これは観光のためだけではない。歴史的景観の保護と、エネルギー効率の維持が目的だ。白い壁の集落は、同規模の非白壁集落に比べて夏季の冷房エネルギー消費が30〜40%低いという研究もある。

現代の「白い壁」

都市部のマンションでは石灰塗りは減り、通常の塗装が主流だ。しかしアンダルシアの新築住宅では、白を基調とした外壁デザインが今も圧倒的に多い。文化的な好みと気候適応が一致している珍しい例だ。

白い村を訪れるなら

代表的な白い村は、マラガ県のミハスとフリヒリアナ、カディス県のアルコス・デ・ラ・フロンテーラとセテニルだ。マラガやセビリアからレンタカーで1〜2時間のアクセスで、公共交通は限られている。

訪問のベストシーズンは5〜6月か9〜10月。7〜8月は日中の気温が40℃を超え、白い壁からの照り返しで体感温度はさらに上がる。白い壁の真価——日差しを反射する機能——を自分の肌で感じることにはなるが、観光には向かない。

朝の8時台に到着し、午前中に散策を終えるのが地元民のアドバイスだ。白い壁に朝日が当たる光景は、インスタグラムの写真より美しい。

世界中の建築家がサスティナブルな冷房技術を研究しているが、アンダルシアの農民は数百年前にすでに答えを持っていた。石灰を水で溶いて壁に塗る。それだけだ。

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