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シエスタは死にかけている——スペイン人の6割が昼寝をしない時代

スペインの象徴とされるシエスタだが、実際に毎日昼寝をするスペイン人は全体の16%程度。都市部では消滅しつつある昼寝文化の現在地。

2026-05-28
シエスタ昼寝労働文化時間生活習慣

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「スペイン人は毎日昼寝をする」。世界中でそう思われているが、CIS(スペイン社会学研究センター)の調査によると、毎日シエスタをするスペイン人は全体の約16%にすぎない。約60%は「シエスタをしない」と回答している。

スペインの象徴であるシエスタは、統計的には少数派の習慣だ。

なぜ減ったのか

最大の理由は通勤距離だ。かつてのスペイン人は職場と自宅が近く、昼食に帰宅して食事をし、昼寝をして、午後に再び出勤するという生活サイクルが成り立っていた。

マドリードやバルセロナでは、職場まで片道30〜60分の通勤が一般的になった。往復2時間をかけて昼食のために帰宅する余裕はない。オフィス近くのバルで昼食を済ませ、14時〜15時の休憩を短縮して17時に退社する——そのスタイルが主流になりつつある。

「シエスタタイム」は残っている

興味深いのは、シエスタ自体は消えても「シエスタの時間帯」は社会に残っていることだ。14時〜17時の間、個人商店は閉まり、電話はつながりにくくなり、街が静かになる。

この空白の3時間が、スペインの1日を長くしている。午前の仕事が10時〜14時、午後が17時〜20時。夕食は21時〜22時。就寝は0時以降。スペイン人の平均睡眠時間はヨーロッパで最も短い部類に入る。

時間帯そのものが間違っている

スペインの時計はそもそもズレている。スペインはポルトガルやイギリスと同じ経度にあるが、フランコ政権時代にドイツに合わせてCET(中央ヨーロッパ時間、UTC+1)に変更された。本来ならUTC+0が自然だ。

この「間違った時間帯」のせいで、太陽が夏の22時過ぎまで沈まない。日の出も遅い。体内時計と社会の時計がズレることで、睡眠不足が構造化されている。

在住者としての体感

スペインに住むと、14時〜17時の空白時間の使い方に慣れるまで時間がかかる。役所も銀行も閉まっている。しかし一度慣れると、この時間帯にジムに行く、読書をする、買い物をする——という使い方ができるようになる。

時間帯の修正議論

スペインの時間帯をUTC+0に戻すべきだという議論は数十年にわたって続いている。2013年には国会の委員会がUTC+0への変更を勧告したが、実施されなかった。変更すれば睡眠時間が増え、生産性が上がるという研究がある一方、隣国フランスやドイツとの時差が生まれることでビジネスに支障をきたすという反論もある。

結局、時計を変えるよりも生活習慣を変える方が先に進んでいる。企業が昼休みを短縮し、17時退社を推進する「horario racional(合理的時間割)」運動が広がりつつある。

シエスタは「怠惰の象徴」ではなく、暑い気候での合理的な労働配分だった。その合理性が現代の都市生活で成立しなくなっただけだ。消えたのはシエスタであって、スペイン人の「急がない」という性質ではない。

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