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サラゴサ——スペインの隠れた第五の都市

マドリードとバルセロナの中間に位置するサラゴサ(Zaragoza)は、スペイン第5の都市でありながら外国人在住者にはほとんど知られていない。家賃の安さ、高速鉄道の利便性、アラゴン王国の歴史を持つこの街の実態を紹介する。

2026-05-06
サラゴサアラゴン地方都市家賃移住

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マドリードからバルセロナまで高速鉄道AVEで約2時間半。その中間地点に停車する都市がサラゴサだ。マドリードから1時間15分、バルセロナから1時間半。人口約68万人でスペイン第5の都市なのに、外国人在住者のコミュニティではほとんど話題に上がらない。

家賃の安さが際立つ

サラゴサの最大の特徴は住居費の安さだ。中心部の1LDK(50〜60㎡)で月€450〜€600(約72,000〜96,000円)が相場。バルセロナの同条件(€900〜€1,200)と比べると半額近い。マドリードとの比較でも3割以上安い。

デリシアス(Delicias)地区やラス・フエンテス(Las Fuentes)地区なら、さらに家賃は下がる。ただし中心部から離れると公共交通の本数が減るので、自転車か車が必要になる。

交通の結節点

サラゴサの地理的優位性は交通面に表れる。AVEでマドリードまで75分、バルセロナまで90分。ビルバオ・バレンシアへも車で3時間圏内。スペインの主要4都市全てに日帰りでアクセスできる位置にある。

空港(Aeropuerto de Zaragoza)は小規模だが、ロンドン・ローマ・ブリュッセルなどへの格安航空便が飛んでいる。ヨーロッパ内の移動拠点としても悪くない。

アラゴン王国の首都だった歴史

サラゴサはかつてアラゴン王国の首都だった。11〜15世紀のイスラム建築とキリスト教建築が融合したムデハル様式(Mudéjar)の建造物群はユネスコ世界遺産に登録されている。アルハフェリア宮殿(Palacio de la Aljafería)は11世紀のイスラム宮殿で、後にカトリック両王の居城にもなった。グラナダのアルハンブラ宮殿と並ぶイベリア半島のイスラム建築の傑作だが、観光客の数は圧倒的に少ない。

ピラール聖母教会(Basílica del Pilar)はエブロ川沿いに建つバロック様式の巨大教会で、サラゴサのシンボルだ。毎年10月12日のピラール祭(Fiestas del Pilar)には街全体が花と音楽に包まれる。

在住者の生活実感

サラゴサに住む外国人の数はバルセロナやマドリードに比べて少ない。その分、外国人向けのインフラ(英語対応の行政窓口、インターナショナルスクール等)は限定的だ。スペイン語が話せないと日常生活で苦労する場面は増える。

一方で「スペイン語を本気で学びたい」という目的には最適な環境とも言える。バルセロナではカタルーニャ語が混在し、マドリードでは英語で済んでしまう場面も多い。サラゴサではカスティーリャ語(標準スペイン語)が純粋な形で使われている。

物価の安さ、交通の便、歴史の厚み。サラゴサが「隠れた」都市であり続けている理由は、むしろ不思議だ。

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