アルザスはフランスなのにドイツ語が聞こえる——国境地帯の二文化生活の現実
フランス北東部のアルザス地方はドイツとの国境地帯で、フランス語・アルザス語・ドイツ語が混在する。在住者が体験する二文化の日常と、スイス・ドイツへの越境生活の実態を解説する。
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ストラスブール(Strasbourg)のカフェに入ると、隣のテーブルでドイツ語に似た言語が聞こえてくる。フランス語ではない。アルザス語(アルザシアン)——ドイツ語の方言に近い地域語だ。テレビはフランス語放送だが、看板にはドイツ語のロゴが残っている。
アルザスはフランスだが、「フランスらしくない」フランスだ。
アルザスの歴史的背景
アルザスはフランスとドイツの間で帰属が変わった歴史を持つ。1871年の普仏戦争後にドイツ領になり、第一次世界大戦後にフランスへ返還。第二次世界大戦でドイツ占領、戦後再びフランスへ——という複雑な経緯がある。
その結果、建築・食文化・言語・習慣がフランスともドイツとも異なる独自の文化が育った。
ストラスブールの生活
EU議会の所在地でもあるストラスブールは、ヨーロッパで最も「国際的な小都市」のひとつだ。EU機関の職員、ドイツからの越境通勤者、フランス全土からの学生が混在する。
パリ以外のフランスを知りたいなら、ストラスブールは最も面白い入り口のひとつだ。
ドイツ越境生活
ストラスブール市内からドイツのケール(Kehl)市は橋を渡るだけで行ける。自転車で30分以内にドイツのスーパーに着く距離だ。ドイツのスーパー(ドイツのリドル、Kaufland等)は物価が安いため、アルザス在住者が食料品をドイツで買うのは珍しくない。
特にビール・ソーセージ・乳製品は価格差が明確で、週1回ドイツへ買い物に行く習慣がある在住者もいる。
アルザス料理
アルザス料理はフランス料理とドイツ料理の融合だ。シュークルート(Choucroute)は塩漬けキャベツにソーセージと豚肉を合わせた料理、タルト・フランベ(Tarte Flambée)はクリームとラルドン(ベーコン)を乗せた薄焼きピザ、キュゲルホフ(Kugelhopf)はアルザス伝統のリング形ケーキだ。
ストラスブールのクリスマスマーケット(12月)はフランス最大規模で知られるが、7月のアルザス料理は暑い季節に合わせたビールとセットが楽しめる。